オレとユウ 2(5)

(くそっ、なんでこんなに綺麗なんだ。男だぞ、ユウは)
 オレは内心の動揺を懸命に必死で鎮めようとする。
「ゆ、ユウ」
「なんだ、マサル」
「お前はどうなんだ」
「どうって?」
「その……いい女をスケベな目で見たりするのか」
「見ないよ」
「えっ」
 ユウの答えにオレは驚く。
「な、なんで」
「オレ、女だもん」
「ええっ」
 オレが思わず大きな声を出したのでユウはケラケラ声を上げて笑う。
「なんて声出してるんだ、マサル」
「だ、だって」
「この前オレと風呂に入っただろう。ちゃんとチンコついていたの見なかったのか?」
「あ、ああ、そうだな」
「そうだな、じゃねえよ。ちっとは落ち着け」
「落ち着いてるって」
「そうは見えねえぜ」
 ユウはまたクスクス笑う。
 そんなことを言ってるうちにオレたちは植物園に着く。オレが財布を出して入場券を買おうとすると、ユウが「いいよ」と言って素早く自販機に金を入れる。
「ここはオレが出すよ。オレが誘ったんだもん」
「でも……」
 ユウは微笑しながらオレを見る。
「なら、中でなんかおごってくれよ」
「わ、分かった」
 オレは頷き、ユウから入場券を受け取る。
 オレとユウは植物園に入る。一面の緑に囲まれたその場所は、駅からほど近い都会にあるとは思えず、一気に郊外にやって来たような錯覚に陥るほどだ。
 ユウは再びオレにぴったり寄り添い、オレをじっと見詰めながら話し始める。

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2022-08-04 23:35

 kyoji


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