人面犬(じんめんけん)
平成元年(1989)から1999年にかけて小学生の間で噂になった現代妖怪。
主に中年男性の顔を持つ犬の姿をしており、ゴミを漁ってるところを注意したところ「ほっといてくれ」「何だ人間か」「うるせぇなぁ」など捨て台詞を吐いて去っていく、時速130キロで走れるとも、その異様な脚力で高速道路を走る車を追い抜き、追い抜かれた車は必ず事故をする、ものすごいジャンプ力を持つ、口から炎を吐く、超能力で人を苦しめて原因不明の病気にする、見ただけでトラブルがある、緑色の糞をする、噛まれたらその部分が腐敗して切り落とさないといけないなどの話があり、面白いものでは口裂け女の飼い犬というものも。
中年男性の顔をしている理由として、バブル崩壊による不景気で、リストラや事業の失敗を苦に自殺する中年男性の増加という時代背景が反映されていると考えられる。
正体について有名な説は、筑波大学の遺伝子操作により犬と人間が混じり合った生物が生まれたものが正体、ペットショップで中絶された犬の水子の霊、暴走族に飼い犬ごとひき殺された人の霊などがある。
噂自体は昭和50年代に南関東のサーファーの間で広まったものだとか、少女向け雑誌「ポップティーン」の記者がラジオのコーナーで読者が投稿した信憑性が高いネタを「ポップティーン」9月号に掲載した。「友達から聞いた話ですが、コックがゴミを捨てにいったところゴミを漁ってた犬がいたので追い払おうとしてもどかないので殴ろうとしたら犬が急に振り向き「うるせーんだよ」と言い残して去っていった。その顔は人間だった。」というもので、これがきっかけに全国の読者から編集部に人面犬情報が続々と寄せられた。
「ポップティーン」誌は人面犬は霊感の強い者に見える。人面犬は一匹ではなく、複数目撃されている。人面犬は自分が話題になってるのをしっている。埼玉県川越市で目撃した者は「あなたは何者ですか?」と訪ねたら人面犬は「人間に話題にされて最近は生活しづらい」と答えた。人面犬に話しかけた者は東京で二人、石川で一人、岡山で一人いたらしい。人面犬は人間に危害を加えず、直接襲われた証言もない。以上が「ポップティーン」に載った特徴で、ジャーナリストの山口直樹氏は著書でこのように考察している。「人面犬は霊感の強いものに見える証言から、若者が見たのは人面犬の幻影だった。これは人面犬は一匹ではない報告とも矛盾しない。実際に複数人面犬がいたなら実在を証明する何らかの証拠が得られるはず。人面犬が幻影とすると、人間に危害を加えない、人面犬と話した証言も納得できる。幻影は人を驚かせるが傷つけることはできない。そして、幻影だから見たものの感性によって話しかけることも可能。」また、山口氏は幻影説について「人面犬の姿は自由を制限された若者たちが自らの姿を見てる現れかもしれない。顔が犬というのがそれを暗示している。」
また、1979年に日本で公開されたアメリカのSF映画「SF/ボディスナッチャー」に人面犬が登場してることも影響してる説もある。この映画は、エイリアンが人間のクローンを作り、一人ずつ人間とすり替えて地球侵略をしようとする物語なのだが、そこに人間を犬のようにクローン化した人面犬のようなものが登場した。
このイメージが元で若者が拘束された自らの姿を抽象化した存在で人面犬が生まれたともいわれている。
そして人面犬の捨て台詞も校則に縛られて、偏差値により将来が決定づけられた若者の叫びを人面犬が代弁してるともされる。人面犬騒動の真相は若者たちの遊びで、人面犬が捕獲されたり写真に撮られることがなかったから、最初から実在しなかったとされる。
しかし、人面犬の出現はマスメディアの仕掛け説もある。詳細を知る者はホラー&SF研究科の聖咲奇(ひじりさき)氏。人面犬騒ぎの仕掛け人とも言われていて、「人面犬はポップティーンのA君が仕掛けた」と指摘。しかも聖さんは小学生の時に人面犬を見たという。京都に住んでいたとき、山の上の分校で校舎の上にトイレがあった。聖さんが給食を食べ終えトイレで用を足そうとしたときにトイレの扉が開き、何だろうと思い見ると、低い位置からヌーっと犬が出てきたが、それが中年男性の顔をして体は白と黒のブチだった。その後の人面犬は無言で校舎の方に歩いていき、そのまま雑木林に入っていったらしい。
また、人面の顔をした犬の伝承は江戸時代から存在している。石塚豊芥子の『街談分々集要(かいだんぶんぶんしゅうよう)』には文化7年(1810)江戸の田戸町(東京都中央区)で紺屋さんの裏で雌犬が産んだ2、3匹の犬が人間のような顔をしており、母犬に乳をもらっていた。噂を耳にした興行師が見世物小屋に出したら大盛況になった記述がある。見世物小屋に出てたのは数日のみで、ほどなく死んだという。今現在普通に考えれば奇形の犬だろうが当時は梅毒にかかった患者が犬と性交すると治るという迷信があったのでこのような噂が流れたと考えられる。
人面犬を描きました。
参考文献
並木伸一郎『最強の都市伝説』
朝里樹『日本現代怪異事典』
朝里樹監修『大迫力!日本の都市伝説大百科』
朝里樹監修・氷厘亭氷泉著『日本怪異妖怪事典 関東』
双葉社『妖怪の常識』
村上健司『妖怪事典』
主に中年男性の顔を持つ犬の姿をしており、ゴミを漁ってるところを注意したところ「ほっといてくれ」「何だ人間か」「うるせぇなぁ」など捨て台詞を吐いて去っていく、時速130キロで走れるとも、その異様な脚力で高速道路を走る車を追い抜き、追い抜かれた車は必ず事故をする、ものすごいジャンプ力を持つ、口から炎を吐く、超能力で人を苦しめて原因不明の病気にする、見ただけでトラブルがある、緑色の糞をする、噛まれたらその部分が腐敗して切り落とさないといけないなどの話があり、面白いものでは口裂け女の飼い犬というものも。
中年男性の顔をしている理由として、バブル崩壊による不景気で、リストラや事業の失敗を苦に自殺する中年男性の増加という時代背景が反映されていると考えられる。
正体について有名な説は、筑波大学の遺伝子操作により犬と人間が混じり合った生物が生まれたものが正体、ペットショップで中絶された犬の水子の霊、暴走族に飼い犬ごとひき殺された人の霊などがある。
噂自体は昭和50年代に南関東のサーファーの間で広まったものだとか、少女向け雑誌「ポップティーン」の記者がラジオのコーナーで読者が投稿した信憑性が高いネタを「ポップティーン」9月号に掲載した。「友達から聞いた話ですが、コックがゴミを捨てにいったところゴミを漁ってた犬がいたので追い払おうとしてもどかないので殴ろうとしたら犬が急に振り向き「うるせーんだよ」と言い残して去っていった。その顔は人間だった。」というもので、これがきっかけに全国の読者から編集部に人面犬情報が続々と寄せられた。
「ポップティーン」誌は人面犬は霊感の強い者に見える。人面犬は一匹ではなく、複数目撃されている。人面犬は自分が話題になってるのをしっている。埼玉県川越市で目撃した者は「あなたは何者ですか?」と訪ねたら人面犬は「人間に話題にされて最近は生活しづらい」と答えた。人面犬に話しかけた者は東京で二人、石川で一人、岡山で一人いたらしい。人面犬は人間に危害を加えず、直接襲われた証言もない。以上が「ポップティーン」に載った特徴で、ジャーナリストの山口直樹氏は著書でこのように考察している。「人面犬は霊感の強いものに見える証言から、若者が見たのは人面犬の幻影だった。これは人面犬は一匹ではない報告とも矛盾しない。実際に複数人面犬がいたなら実在を証明する何らかの証拠が得られるはず。人面犬が幻影とすると、人間に危害を加えない、人面犬と話した証言も納得できる。幻影は人を驚かせるが傷つけることはできない。そして、幻影だから見たものの感性によって話しかけることも可能。」また、山口氏は幻影説について「人面犬の姿は自由を制限された若者たちが自らの姿を見てる現れかもしれない。顔が犬というのがそれを暗示している。」
また、1979年に日本で公開されたアメリカのSF映画「SF/ボディスナッチャー」に人面犬が登場してることも影響してる説もある。この映画は、エイリアンが人間のクローンを作り、一人ずつ人間とすり替えて地球侵略をしようとする物語なのだが、そこに人間を犬のようにクローン化した人面犬のようなものが登場した。
このイメージが元で若者が拘束された自らの姿を抽象化した存在で人面犬が生まれたともいわれている。
そして人面犬の捨て台詞も校則に縛られて、偏差値により将来が決定づけられた若者の叫びを人面犬が代弁してるともされる。人面犬騒動の真相は若者たちの遊びで、人面犬が捕獲されたり写真に撮られることがなかったから、最初から実在しなかったとされる。
しかし、人面犬の出現はマスメディアの仕掛け説もある。詳細を知る者はホラー&SF研究科の聖咲奇(ひじりさき)氏。人面犬騒ぎの仕掛け人とも言われていて、「人面犬はポップティーンのA君が仕掛けた」と指摘。しかも聖さんは小学生の時に人面犬を見たという。京都に住んでいたとき、山の上の分校で校舎の上にトイレがあった。聖さんが給食を食べ終えトイレで用を足そうとしたときにトイレの扉が開き、何だろうと思い見ると、低い位置からヌーっと犬が出てきたが、それが中年男性の顔をして体は白と黒のブチだった。その後の人面犬は無言で校舎の方に歩いていき、そのまま雑木林に入っていったらしい。
また、人面の顔をした犬の伝承は江戸時代から存在している。石塚豊芥子の『街談分々集要(かいだんぶんぶんしゅうよう)』には文化7年(1810)江戸の田戸町(東京都中央区)で紺屋さんの裏で雌犬が産んだ2、3匹の犬が人間のような顔をしており、母犬に乳をもらっていた。噂を耳にした興行師が見世物小屋に出したら大盛況になった記述がある。見世物小屋に出てたのは数日のみで、ほどなく死んだという。今現在普通に考えれば奇形の犬だろうが当時は梅毒にかかった患者が犬と性交すると治るという迷信があったのでこのような噂が流れたと考えられる。
人面犬を描きました。
参考文献
並木伸一郎『最強の都市伝説』
朝里樹『日本現代怪異事典』
朝里樹監修『大迫力!日本の都市伝説大百科』
朝里樹監修・氷厘亭氷泉著『日本怪異妖怪事典 関東』
双葉社『妖怪の常識』
村上健司『妖怪事典』
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2022-11-04 19:44
Comments (3)
鬼太郎「人面犬はつい最近有名になった妖怪だね。知っている人も多いんじゃないかな。」
人面犬!!!!
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