【PFSOZ】影たるものは
廃都地下に広がる迷宮めいた坑道の奥。
明らかに人の手が入っているであろう地下空間に、ひしめくようにしてそれらはいた。
胸元に明滅する輝きを灯した、動く屍体ども。
対峙する者の想いに、あるいは記憶に反応して姿を変えるという尋常ならざる埒外の化生。
それらを無感動な瞳で見据えながら、隻面の男――シュラキは呟く。
「ベルナウ様。あれらは何に見えますか」
「決まっている、金づるだ。あいつらに埋め込まれた魔石を引っこ抜いて持ち帰れば、イスリアドの青瓢箪どもが大枚はたいて買うだろう」
にやり、と下卑た笑みを浮かべた後、ベルナウと呼ばれた恰幅のいい男はじろりとシュラキを睨む。
「で、シュラキ。貴様にはアレは何に見えると――いや、聞くまでもないか」
その視線はシュラキから、目前の屍体たちへ。
見るといつの間にか屍体たちの胸元の魔石が禍々しく輝き出し、その姿を変貌させつつあった。
揃いの鎧を纏い、剣や槍で武装したそれらは……騎士だ。
それも数年前――ザリア軍においても勇名を誇った”とある騎士団”の装束とよく似ていた。
そんな彼らを見つめながら、ベルナウは葉巻をくわえつつ舌打ちをこぼす。
「不調法者め、いまだに引きずっておるのか。これだから騎士という生き物は」
「……騎士などと。今の拙は、ただの影に過ぎませんよ」
「影と言うならば、あんな木偶どもに気取られるな。愚か者」
「はは、返す言葉もありません」
苦笑をこぼすシュラキに、不機嫌そうに顔を歪めたままベルナウは鼻を鳴らす。
「余輩は手出しはせんぞ、この寒いのに無駄に動きたくないからな。貴様の撒いた種だ、貴様が刈り取るがよい」
「委細承知。ではしばらく、こちらでお休みください」
恒と変わらぬ柔らかな口調でそう返すや、シュラキは杖から刃を引き抜き、屍騎士たちへと向かってゆく。
■というわけで廃都エギリアの地下鉱脈を探索中です。
廃都紀行【illust/102835660】
ベルナウ・シュラキ【illust/101966988】
明らかに人の手が入っているであろう地下空間に、ひしめくようにしてそれらはいた。
胸元に明滅する輝きを灯した、動く屍体ども。
対峙する者の想いに、あるいは記憶に反応して姿を変えるという尋常ならざる埒外の化生。
それらを無感動な瞳で見据えながら、隻面の男――シュラキは呟く。
「ベルナウ様。あれらは何に見えますか」
「決まっている、金づるだ。あいつらに埋め込まれた魔石を引っこ抜いて持ち帰れば、イスリアドの青瓢箪どもが大枚はたいて買うだろう」
にやり、と下卑た笑みを浮かべた後、ベルナウと呼ばれた恰幅のいい男はじろりとシュラキを睨む。
「で、シュラキ。貴様にはアレは何に見えると――いや、聞くまでもないか」
その視線はシュラキから、目前の屍体たちへ。
見るといつの間にか屍体たちの胸元の魔石が禍々しく輝き出し、その姿を変貌させつつあった。
揃いの鎧を纏い、剣や槍で武装したそれらは……騎士だ。
それも数年前――ザリア軍においても勇名を誇った”とある騎士団”の装束とよく似ていた。
そんな彼らを見つめながら、ベルナウは葉巻をくわえつつ舌打ちをこぼす。
「不調法者め、いまだに引きずっておるのか。これだから騎士という生き物は」
「……騎士などと。今の拙は、ただの影に過ぎませんよ」
「影と言うならば、あんな木偶どもに気取られるな。愚か者」
「はは、返す言葉もありません」
苦笑をこぼすシュラキに、不機嫌そうに顔を歪めたままベルナウは鼻を鳴らす。
「余輩は手出しはせんぞ、この寒いのに無駄に動きたくないからな。貴様の撒いた種だ、貴様が刈り取るがよい」
「委細承知。ではしばらく、こちらでお休みください」
恒と変わらぬ柔らかな口調でそう返すや、シュラキは杖から刃を引き抜き、屍騎士たちへと向かってゆく。
■というわけで廃都エギリアの地下鉱脈を探索中です。
廃都紀行【illust/102835660】
ベルナウ・シュラキ【illust/101966988】
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ヴァラシン組
barashinngumi
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2022-11-18 19:00
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