バー・ロマネスクにて美酒を。
平日午後8時のバー・ロマネスクはこれから来る客達の為に、寛ぐ静かな雰囲気を用意し始めていた。
叔父が経営するこのバーで、アンドレは水曜日だけバーテンダーとしてシェーカーをふるう。
今日は水曜日。2,3人いるサラリーマンはめいめいお気に入りのカクテルをちびちびと飲みながら、
家に帰る前の楽しい一時を過ごしている。
お互い一言も喋らず、沈黙を楽しんでいるこの空気感を、アンドレはとても気に入っていた。
でも今夜は特別。先週の水曜日、仏頂面でいきなり店に入ってきた金髪美人の事を考えていたから。
1週間前。
夜空が美しい夜に彼女は現れた。海のように深いブルーのドレスに、同系色のダリアを模した襟飾りをつけた彼女の服装は、明らかに結婚式帰り。その美しさにアンドレはしばらく固まってしまった。
「こんばんわ。何にいたしましょう?」
「すみません。何か適当に作ってくださる?」と彼女は言った。
「かしこまりました・・・パーテイの帰りですか?それによってお勧めするお酒、変わってくるけど。」
「実はね・・・何を飲んだか覚えていない!」
「え・・・?どういう意味・・・かな?」
一見の客に対してタメ口になる事はめったにないアンドレだが、何故か彼女にはそんな話し方がマッチするような気がした。
「実はね、部下の結婚式だったの。そしたら『君みたいな美人が独身ってどうなの?ここで会ったのも何かの縁だね。ねえ、この後どっかいかない?』って口説かれたのよ。それも3人!ねえこれって、セクハラじゃない?だってみんな既婚者のおじさんよ!」
「ん~ん。まあ不愉快だったとは思うけど、男の気持ちはわからないでもない・・・かな。」
うわ・・・怒った顔もスゲー綺麗だな、彼女。
「えっと。ところで・・・どうして飲んだ酒をおぼえてないの?」
「頭に来たから、テーブルにあるお酒を手当たり次第飲んでたのよ。おかげでおじ様たち、退散してくれたけどね!」俺はもう、愉快で吹き出しそうになった。
「ねえ、私ってそんなに風変わりな女かしら?あなたも吹き出しそうだし。」
「あ、いや。ゴメン。気持ちいいほどサバサバしてて嬉しくなった。なんか、昔から知り合いみたいな気がして・・・。ああ、ごめん。これもセクハラになるのかな。」
「それはちがうんじゃない?私もなんだか、スッキリしちゃった。」
何だか意気投合してしまって、彼女はその夜、俺が作ったホワイトレデイを飲んで、上機嫌で帰っていった。
今夜彼女は来るかな?
あの夜、帰り際に彼女は俺に聞いた。
「明日もここにいる?」
「ううん。ここは叔父の店。俺は水曜日だけ。本業は俺、シェフだから。」
「ふうん・・・。」ガッカリした表情に見えたのは、俺の自惚れかな。
その時、店のドアが開いた。
「きちゃった。」と照れ笑いをする彼女はざっくりした白いコットンシャツを着ていた。
それにブルージーンズ。
この前のドレスもいいけど、俺はこっちのほうが好きだな。
アンドレは彼女の瞳の色と同じ、チャイナブルーをグラスに注ぎ、彼女の前に置いた。
ドラマ「西荻窪三ツ星洋酒堂」の町田啓太様のバーテンダー姿が美しくて、アンドレにバーテンダー姿をお借りしてしまいました。哀愁を感じる美しさ、町田啓太さんとアンドレに通じるものを感じてしまいます。
叔父が経営するこのバーで、アンドレは水曜日だけバーテンダーとしてシェーカーをふるう。
今日は水曜日。2,3人いるサラリーマンはめいめいお気に入りのカクテルをちびちびと飲みながら、
家に帰る前の楽しい一時を過ごしている。
お互い一言も喋らず、沈黙を楽しんでいるこの空気感を、アンドレはとても気に入っていた。
でも今夜は特別。先週の水曜日、仏頂面でいきなり店に入ってきた金髪美人の事を考えていたから。
1週間前。
夜空が美しい夜に彼女は現れた。海のように深いブルーのドレスに、同系色のダリアを模した襟飾りをつけた彼女の服装は、明らかに結婚式帰り。その美しさにアンドレはしばらく固まってしまった。
「こんばんわ。何にいたしましょう?」
「すみません。何か適当に作ってくださる?」と彼女は言った。
「かしこまりました・・・パーテイの帰りですか?それによってお勧めするお酒、変わってくるけど。」
「実はね・・・何を飲んだか覚えていない!」
「え・・・?どういう意味・・・かな?」
一見の客に対してタメ口になる事はめったにないアンドレだが、何故か彼女にはそんな話し方がマッチするような気がした。
「実はね、部下の結婚式だったの。そしたら『君みたいな美人が独身ってどうなの?ここで会ったのも何かの縁だね。ねえ、この後どっかいかない?』って口説かれたのよ。それも3人!ねえこれって、セクハラじゃない?だってみんな既婚者のおじさんよ!」
「ん~ん。まあ不愉快だったとは思うけど、男の気持ちはわからないでもない・・・かな。」
うわ・・・怒った顔もスゲー綺麗だな、彼女。
「えっと。ところで・・・どうして飲んだ酒をおぼえてないの?」
「頭に来たから、テーブルにあるお酒を手当たり次第飲んでたのよ。おかげでおじ様たち、退散してくれたけどね!」俺はもう、愉快で吹き出しそうになった。
「ねえ、私ってそんなに風変わりな女かしら?あなたも吹き出しそうだし。」
「あ、いや。ゴメン。気持ちいいほどサバサバしてて嬉しくなった。なんか、昔から知り合いみたいな気がして・・・。ああ、ごめん。これもセクハラになるのかな。」
「それはちがうんじゃない?私もなんだか、スッキリしちゃった。」
何だか意気投合してしまって、彼女はその夜、俺が作ったホワイトレデイを飲んで、上機嫌で帰っていった。
今夜彼女は来るかな?
あの夜、帰り際に彼女は俺に聞いた。
「明日もここにいる?」
「ううん。ここは叔父の店。俺は水曜日だけ。本業は俺、シェフだから。」
「ふうん・・・。」ガッカリした表情に見えたのは、俺の自惚れかな。
その時、店のドアが開いた。
「きちゃった。」と照れ笑いをする彼女はざっくりした白いコットンシャツを着ていた。
それにブルージーンズ。
この前のドレスもいいけど、俺はこっちのほうが好きだな。
アンドレは彼女の瞳の色と同じ、チャイナブルーをグラスに注ぎ、彼女の前に置いた。
ドラマ「西荻窪三ツ星洋酒堂」の町田啓太様のバーテンダー姿が美しくて、アンドレにバーテンダー姿をお借りしてしまいました。哀愁を感じる美しさ、町田啓太さんとアンドレに通じるものを感じてしまいます。
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2022-12-05 17:24
Comments (15)
す て き‼…彼女の綺麗なことったらもうね…彼も…🥰🥰🥰🥰
View Replies品のある華やかなオスカル様の美しさばかりに目が行きますが、アンドレも色っぽくてカッコいいわー♥作るカクテルもオシャレで美味しいに違いない!美意識高そうな雰囲気もステキ(*^^*)
View Replies素敵!素敵!お話だけでなくオスカル様のドレスも素敵👗 ありがとうございます! 私も続き希望です♡
View Replies『西荻窪三つ星洋酒堂』漫画が原作なんですね。コチラで少し読めました。 https://ddnavi.com/serial/nisiogikubo-mitubosi/ 大人のふたりにはお酒のある空間がよく似合いますね。オスカルさまのドレスも素敵です✨
View Repliesシェーカー振るアンドレももちろんカッコイイけど!オスカルさまの妖艶な美しいドレス姿ったら♥アンドレじゃなくとも声を掛けたくなるよね~!本当に素敵!
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