【PFSOZ】市中パワフルファイト【表裏紀行】

「パワァーッハハァーッ！！！！！！」

矮躯からは想像もつかぬドワーフ特有の剛力で、バーリッキ自慢の鉄斧義手が振り下ろされる。
斧の一撃を刀で受けた女剣士は、獲物の粉砕と己の命で過ちの代償を支払った。

「ギャハハハハハ！！！見た目ほどパワフルじゃあねぇなァ！？それじゃあパワハラには行けねェぜェ！？！？」
「ズルいですよバーリッキさん！私まだ撃ち足りないです！！」
「パワフルファーストだぜ！！！！」

パワフルファースト（パワフルな人間が先手を取っていいというパワハラローカルルール）に基づき、バーリッキは突如現れた女剣士を粉砕したのだ。ちなみに物理的に粉砕された。不思議。
どこぞの用心棒という話で、相当な手練れという話だったが……思ったよりもパワーの無い相手だった。
いや……これはバーリッキがパワフル過ぎたのだろう。
パワハラに選ばれしパワフルな戦士の宿命……その圧倒的なパワーの前ではパワー劣等者は己のノットパワフルを悔いるしかできないのだ。だから砕け散ったのだ。間違いない。

「まぁいいや。ともかく買い物の続きでも……」
「あっ！！！」
「なんだァ！？」

振り向く！！
よりも先に発砲音！！！
その先には……先ほど倒したはずの女剣士が……もうひとり！？
馬鹿な、先ほどこいつは倒したはず！！！！！
まぁでも撃たれて即死！！！！！！ 砕ける！！！！！！
と思った次の瞬間、さらに三人目の剣士が現れたではないか！！！！！

「………………………」
「わぁ！！ たくさん出てきましたよバーリッキさん！！」
「なんだァ……？ まさかテメェ……」

ごくりとツバを飲み込む。
三人目……当然のように四人目、五人目と女剣士の姿が増えていくではないか。
通常ではとても考えられぬ異常事態。
ことここに至り、バーリッキは全てを理解した。

.

「――――――――――――大家族か……ッ！！！！」

.

間違いない……両親が大変パワフルでメチャクチャそっくりな姉妹がたくさんいるのだ……！！

「面白れェ！！！ 何人いようと俺様の方がパワフルだからなァ！！！！！」
「たくさん撃てるからたくさん出てきてくれた方が嬉しいです！」
「パワフルだなァマクラギィ！！！」

とにかくたくさん出て来たならたくさん倒せばいい！！！！ パワフル・アンサー！！！！
バーリッキは斧を振り上げ、新たな女剣士に躍りかかった！！！！！

ちなみにもちろん大家族とかではなく、これはナイトシェードの幹部“廃剣”カレの鏡像体である。
戦闘に縁のない一般人には認識できないが、鉄虫団が持つ血なまぐさい戦場の匂いに惹かれて襲い掛かってきたのだろう。

……そして、そう。
一般人には認識できないのである、この女剣士の鏡像体は。

それがまぁ、どういうことになるかというと……

「ウワーッ！！ 鉄虫団の奴らが虚空に向かって斧振り回したり発砲したりしてる！！！！」
「狂人！！！！！！！！」

正解！！！！！
彼らは狂っているのだ！！！！！
一般人からすると虚空と戦闘する狂人が二名！！！！！

「ヒャッハァ！！！！ パワフルじゃねぇ奴は今すぐどっか行きなァ！！！！！」
「撃っていいですか！」
「ウワーッ！！！」「逃げろ逃げろ！！！！」「街中でなにやってんだあいつら！！！」

誰にも知られない孤独な戦い……！！！
割と平常運転な感じで、祭りの影で死闘の火蓋が切って落とされた……！！！！

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こちらのイベント【illust/103223608】に参加させていただこうと思いましたが間に合わなかったノットパワフル野郎はこの俺です。
ほんのりこちら【illust/103306430】の続き風味

街中で虚空に向かって斧を振り回す男バーリッキ【illust/102440624】
街中で虚空に向かって発砲する女マクラギ【illust/102308090】