報復

ルカーシュはセヴェラ卿と意を同じくしたと思って「きっとボースに恨みがあるヤツだ！間違いない！」と強い口調で断言した、セヴェラ卿は顔こそ見合わせてみたもののどうもルカーシュと考えが違うことに困惑して面食らっていたがそんな事は意に解さないようにルカーシュは「確かトランとかいったヤツだ」「あの野郎、逆恨みしやがって」と捲し立て、彼の怒りが段々と強くなるのに少し不安を覚えた。
まずいな、ルカは少し冷静さを失っているようだ、どうやって頭を冷やしてやるべきか。などと考えていたが、その刹那。
「待てっ」
ルカーシュは窓の外に人影を認めて走り出した。
「それっ！」
ルカーシュの手から放たれた光輪は不審人物の足を捉えた。
不審な人物はなんとトラン、ボース家出事件の時のヴァラシン組の手下だった。
怒りを込めて胸ぐらを掴むルカーシュ。
なにやら至近距離で魔法を喰らわそうとしているようだ。
「ルカ！やめろ！そいつは……」
とセヴェラ卿が言い終わる前にトランはなにやら唸りだした……先程の魔法はハッタリでトランが身構えた隙に幻惑魔法をかけたのだ
トランはしばらく堪えていたが、耐えられない様子で喋り出した。
「う、うううウラ……ウラディート……グググ……ヒート……ルルル……ルンデス」
「良くやった！ルカ！それだけ聞ければ充分だ！」
とセヴェラ卿。
ルカーシュはトランを突き飛ばして怒鳴った
「いいか！今度やったら同じ目に遭わせてやる」
トランは慌てて逃げ出した。
「よかった、ヤツを殺してしまうのではないかと心配していたぞ」
セヴェラ卿が追いつくとルカーシュは意外と冷静で「旦那様のお陰です」と目に怒りの火を灯しながらも少し微笑んで見せた。
「ルカーシュ、今度の事は余り首を突っ込んではならん、きっとおまえの……いや、俺でも手に負えない相手だ」
「おそらくお前に俺を……いや、俺への警告かもしれんが……まあいい」
セヴェラ卿は少し勿体つける様に話していたが、意を決した様に話し出した。
「ヤツが話した事はおそらく間違いない、今回の黒幕は……イスリアド三奸臣の一人、ルンデス伯ウラディートだ」
「‼︎」
(続く)

ヴァラシン組の手下トラン
(文字だけですが)黒幕ウラディート・ヒート・ルンデス伯爵

ルカーシュ
ミクラーシュ・セヴェラ城伯