【PFSOZ】契約の代償（過去話）

「残念ですが……既に対価を得た契約を破棄することは不可能です」

冷静な台詞を聞かされて、女性はガクリと膝から崩れ落ちた。

悪魔と結んでしまった契約、『自分の願いのために子供を生贄にすること』を取り消す方法を必死に探した。
伝手を頼って縋ったのが、契約の専門家であるヴァラシン組のオルダリオンだった。
否定されても、目の前に立つ唯一の、最後のよすがに必死にくらいついた。

「お願いです……私の命と引き換えで構いません」

「貴方には気の毒な言い方になってしまいますが」

少し躊躇うように言葉を切って、オルダリオンは続けた。

「盛りを過ぎた女性の命と、未来ある子供の命。残念ながら天秤が釣り合いません」

突き放される台詞に、女性は拳を握りしめて床に蹲った。
全て、自分の浅はかさが招いたこと。自分はどうなっても構わない。
蹲ったまま絞り出すように声を出した。

「お願い……何でもします。あの子を助けて……」

「……」

暫く黙ったオルダリオンは、やがてこう言った。

「代償として子供の目から光を。貴方からは魂を。それで、ようやく釣り合いが取れる」

「……！」

助けられる……？
けれど、視力も両親も失って遺された8歳の子供が、果たして独り生きていけるのだろうか。
即答できない女性に、オルダリオンは言葉を続けた。

「ヴァラシン組に迎えましょう。本人が望めば、ですが」

他に道はない。
声は出ず、女性はごく僅かに頷いて承諾を伝えた。

オルダリオンが宙に手を翳すと、黒い塵のような煙と共に『悪魔との契約』が書類の姿で具現化した。
あまり時間がない。
迷わず、オルダリオンは宙に浮かんでいる書類に手を伸ばした。

「では、代償と引き換えにこの契約の破棄を宣言します」

そしてオルダリオンの手が、宙に浮かぶ書類を一気に引き裂いた。

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過去の因縁の内容です。
絵はコールド母の瞼を閉じさせてる場面、です。
この後、オルダリオンは部下を使って少年の行方を探させたけど見つからず。
後々、コールドの素性を調べこの時の少年だと知ったけど、何も語らずそのままヴァラシン組に居させた感じです。

本当はコールドが死ぬ【illust/103919257】前に出したかったんですが、期間中に間に合わなかったので……。
これでコールドの描いておくつもりだった話は一通り終了です。
お付き合いありがとうございました。

■自キャラ「コールド」【illust/102307915】
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■ロゴお借りいたしました【illust/101966120】

■オルダリオン（公式NPC）【illust/101966087】
　過去の因縁に巻き込んでしまってすみません。

■企画元：pixivファンタジアSOZ（期間終了）【illust/101965643】