クリムゾン劇団応援イラスト

「劇団の喉舌」が舞台上で倒れた。手板に括られていた糸が、蜘蛛の巣のようにびっしりと広がる。彼はそれで劇作家ルートに行きたい時に限ってフラグが立たないよう裏で操っていたのだ。しかし今、この元劇団員が事切れたことで、すべてが終わった。
ドクターが安堵のため息をつく。「統合戦略#2 ファントムと緋き貴石」に支配されていた彼の半年も、ついに再びその呪縛から解き放たれたのだ。
「統合戦略の幕は閉じた。平穏な暮らしに戻ろう。」
ドクターはそう思う。
しかし……

照明はきらめき、緞帳が開く。
舞台がまだ何かを待っている。
ドクターは知らず知らずのうちに、劇団の喉舌の椅子を引き寄せ、舞台の中央に置いた。
彼は座り、考え、沈黙する。

「プレイしろ、プレイしろ。」

かすかな声が彼の頭の中で響き渡る。

「金酒の杯で爆速にして遊べ。シラクーザ人の憤怒で強撃フィーバーしてもいいぞ。」

……
ドクターの端末から一つの音が流れ出た。一つ、また一つ──
それらが繋がってBGMに、そしてフレーズに変わる。他にやることがあるのに、高らかに端末が歌う。その抑揚のある第■幕を聴き、影の中からほんのかすかな声がこだました。それらは呼応し、歌っている。倒れていた司会者も起き上がり、糸の連なる手板を捨てると、舞台上での自分の立ち位置へと向かった。
「……役者はそろいました。……私も、責務を果たす時です。」

……
シャレムはその声を聞いた。ドクターを見つけさえすれば、彼の任務は完了となる。
しかし、扉を開けた彼は唖然とした。
「これは、いったい……」
シャレムの目に映ったのは、舞台上に次々と浮かび上がる、かつての悪夢──

遊撃隊サルカズ戦士の攻撃が結構痛くて困る「猛獣小屋」
死力が発生して勝手にみんな倒れていった「礼砲小隊」
緊急作戦のウルサス強襲射撃兵の物量が凄い「墜落事故」
ロアー見習い騎士をブロックしてる間に他の敵が抜けちゃう「ムシと一緒」
凶悪拳闘士の攻撃速度が笑っちゃうくらいに速くなる「死闘」
遊撃隊伝令兵のせいで全体的に硬くて困る「真打ち登場」
もたもたしてると初めからいるティアカウ勇士を逃しちゃう「巡視隊」
確定で主なき秘宝が一つ出現する「分け前のもつれ」
戦術射手がいると待機している上級術師を倒しやすい「零落の騎士」
どうしてウルサスコマンドス隊長はそんなに走り回ってるの？「早い者勝ち」
狙撃歩兵たちが意外と厄介な「ダック卿のステージ」
第2〜3層で来る割には結構難しい劇作家ルートのフラグ戦闘「自縛」
敵総数が26〜28ぐらいでよく変動するけど実際誰が増えてるのかよく分からない「デジャヴュ」
Big Bobはもう一マス前で待機してくれ「酒屋の輸送隊」
ダック卿の進行ルートが分かりにくい「パブリック・エネミー」
29人目ぐらいで周りの射撃隊長が動き出す「闘獣の檻」
緋色の歌姫がふらふら寄り道するせいで大変な「初演」
31人目の出現が遅くて困る「感化」
やめて「正義」
恐怖だったりすると墓守の石像が石柱一発で死ななくなる「彫刻師と石像」
ここが一番狩りにくい「ダック卿のパーティー」
巨像の攻撃優先度で悩む「敷居に注意を」
潜入者たちザコ敵が硬くて大変な「天翔ける怪盗・劇団篇」
ボスを倒せずにいると内側の戦線まで崩壊しちゃう「恐怖の都市伝説」
火力が全体的に高すぎる「殺戮の調べ」
弓持ってる方が遠距離オペレーターを蹂躙していく「酷寒の惜別」
初めの術剣隊長の攻撃が痛い「過去からの刺客」
士官候補生の頃と比べると多少はマシになった「エンドレスチャージ」
ほんまにヴェンデッタ出るか？「覆う黒雲」
鼠王が出てきてびっくりした「花火ショー」
もっと高台が欲しい「遠方からの来客」
慣れるとあんま左下の地上マスを使わなくなる「ボブ酒造」
プチサプライズの動きが遅くてイライラする「ナイトフィーバー」
緊急作戦で寝返るな源石氷晶「雪山の来客」
遊撃隊伝令兵3人は盛りすぎだろ……「ゴプニクの挨拶」
高台潰しが酷い「異端の檻」
歌姫たちの神経ダメージとからくりの範囲攻撃に押されて崩壊しがちな劇作家フラグ戦闘「観察」
周りの落とし穴いる？「ドローン発着庫」
初動が厳しい「氷の芸術」
意外とサルカズケントゥリオって火力高いんだね「赤い霧の眠らぬ夜」
死力で動くなサルカズ呪術師「儀式の夜」
ゴースト隊長が硬すぎる「ポルターガイスト」
悠長に立ち止まってくれてありがとう「サプライズ工場」
緊急作戦ヤケクソステルス「奈落への吶喊」
追加ステージだからって殺意をMAXにするな「対岸の火事」
調子に乗ってると一瞬で終わる「ウルサスの漢」
ジェッセルトンは何しにきたの「秩序なき祭宴」
指揮分隊の臨時耐久値+4で倒せ!!「騎士の対決」
ルシアンを倒せないと全てが終わるのにいちいち回避しないでくれ「戻る道なし」
火力が揃ってると遺書なしで行けることに気付いてしまった「最期の願い」
やっぱ速くならないでプチサプライズさん「サルカズの渇望」
帝国砲撃指揮機はもうやめてくれ「ウルサスの渇望」
いつ司会者が動き出すかヒヤヒヤしながら戦う「茶番の終わり」
どうしてここまで来て冬霊シャーマンばかり出すんだ「新章の起稿」

すべてのステージが舞台の影で、赤く目を光らせている。ただ一人、スポットライトに照らされているのは──「統合戦略漬け」ドクター。彼は軽く咳払いをした。
今まさに彼が──
全分隊4ENDクリア攻略を始める。