【舞神楽2】暗中模索【蜃】
マイカグラ怪異譚2【illust/104949383】
第三イベント:蜃【illust/106995094】
こちらの流れをお借りしております。
謀【illust/107143065】
ゆらめく影【illust/107309845】
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迫り来る鬼を金棒で次々といなし、
飛散する爆炎をすんでのところで躱わす。
もうそんな時間がずっと続いている。
「狩野さん、天祇殿の言っていることは本当?
中央にはそんな企みがある?」
「少なくとも自分の知る範囲ではそのような行いは認知していません!
そも竜脈を通す計画自体が、怪異の皆さんの存在を保つためのもので…!」
違和感がある。
つい先程まであんなに協力的だった天祇殿が口にした疑念は、
あまりにも具体的すぎる。
元々疑念を持っていたのであれば、協力を申し出る際に言うはずだ。
なら、その情報をどこで得たのか。
まず間違いなく、暁空寺の棟梁…黎明殿とのやりとりの中でだろう。
中央の狩野さんが認識していないことを、黎明殿が認識している?
(…どちらかが嘘をついている?)
黎明殿が神楽塚を潰すために、疑念を吹き込んだのか。
退魔管理局が怪異を手玉に取るために、嘘をついているのか。
(…どちらも正しかったら?)
黎明殿の言う怪異を手懐けようとする企みを中央の狩野さんは知らないし、
神楽塚の塚守も怪異たちも知らない。
それはつまり。
「西退魔管理局が…?」
思考から意識が戻った刹那、
爆ぜた火が顔布に燃え移り思わず地面に倒れ込んだ。
「鑑。怪異はね、退魔師とは表裏みたいな存在だけど、
古き良き隣人なのよ。憎しみ合うのは悲しいことだわ。
母さんはね…」
倒れた拍子に頭を打ったのか、一瞬気を失っていたらしい。
既に顔布から火は消えており、起きあがろうと仰向けになった瞬間、
無邪気な瞳達に覗き込まれた。
「ねえ、退魔師のおねーさん。僕たちに嘘ついてたの?
嘘つきならさ、食べちゃってもいいよね?」
「ね…?」
神楽塚の悲譜と、新たなもう一体の怪異の瞳には
ありありと空腹が透けて見えている。
「もしかすると管理局は、貴方達を手懐けようとしているのかもしれない。
私の知らないところでそういう考えがあるのかもしれない。」
最早、何が正しいかわからない。誰が嘘をついているかもわからない。
「でも、まだ食べないでほしい。
もし管理局が本当にそう考えてるなら…
その人達全員、捕まえて貴方達にあげてもいい。
それで管理局にいられなくなっても、塚守でいられなくなっても、それでいい。」
であれば、せめて自分の守りたいもののために行動するだけ。
「信じられないなら呪ってもいい。でも私は。」
「貴方達と…怪異と友達になりたい。」
かすかに、そんな母の言葉を思い出した。
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■概要
神楽塚の怪異と応戦中、攻撃を受け一時気絶。
悲譜さん・夜鳴さんに覗き込まれ、食べられそうになるも
命乞いと協力体制を申し出ています。
お借りしました。
狩野 康さん【illust/104950458】※公式
天祇さん【illust/104950731】※公式
黎明さん【illust/104950834】※公式
悲譜さん・夜鳴さん【illust/106449799】
神無月 鑑【illust/105092513】
第三イベント:蜃【illust/106995094】
こちらの流れをお借りしております。
謀【illust/107143065】
ゆらめく影【illust/107309845】
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迫り来る鬼を金棒で次々といなし、
飛散する爆炎をすんでのところで躱わす。
もうそんな時間がずっと続いている。
「狩野さん、天祇殿の言っていることは本当?
中央にはそんな企みがある?」
「少なくとも自分の知る範囲ではそのような行いは認知していません!
そも竜脈を通す計画自体が、怪異の皆さんの存在を保つためのもので…!」
違和感がある。
つい先程まであんなに協力的だった天祇殿が口にした疑念は、
あまりにも具体的すぎる。
元々疑念を持っていたのであれば、協力を申し出る際に言うはずだ。
なら、その情報をどこで得たのか。
まず間違いなく、暁空寺の棟梁…黎明殿とのやりとりの中でだろう。
中央の狩野さんが認識していないことを、黎明殿が認識している?
(…どちらかが嘘をついている?)
黎明殿が神楽塚を潰すために、疑念を吹き込んだのか。
退魔管理局が怪異を手玉に取るために、嘘をついているのか。
(…どちらも正しかったら?)
黎明殿の言う怪異を手懐けようとする企みを中央の狩野さんは知らないし、
神楽塚の塚守も怪異たちも知らない。
それはつまり。
「西退魔管理局が…?」
思考から意識が戻った刹那、
爆ぜた火が顔布に燃え移り思わず地面に倒れ込んだ。
「鑑。怪異はね、退魔師とは表裏みたいな存在だけど、
古き良き隣人なのよ。憎しみ合うのは悲しいことだわ。
母さんはね…」
倒れた拍子に頭を打ったのか、一瞬気を失っていたらしい。
既に顔布から火は消えており、起きあがろうと仰向けになった瞬間、
無邪気な瞳達に覗き込まれた。
「ねえ、退魔師のおねーさん。僕たちに嘘ついてたの?
嘘つきならさ、食べちゃってもいいよね?」
「ね…?」
神楽塚の悲譜と、新たなもう一体の怪異の瞳には
ありありと空腹が透けて見えている。
「もしかすると管理局は、貴方達を手懐けようとしているのかもしれない。
私の知らないところでそういう考えがあるのかもしれない。」
最早、何が正しいかわからない。誰が嘘をついているかもわからない。
「でも、まだ食べないでほしい。
もし管理局が本当にそう考えてるなら…
その人達全員、捕まえて貴方達にあげてもいい。
それで管理局にいられなくなっても、塚守でいられなくなっても、それでいい。」
であれば、せめて自分の守りたいもののために行動するだけ。
「信じられないなら呪ってもいい。でも私は。」
「貴方達と…怪異と友達になりたい。」
かすかに、そんな母の言葉を思い出した。
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■概要
神楽塚の怪異と応戦中、攻撃を受け一時気絶。
悲譜さん・夜鳴さんに覗き込まれ、食べられそうになるも
命乞いと協力体制を申し出ています。
お借りしました。
狩野 康さん【illust/104950458】※公式
天祇さん【illust/104950731】※公式
黎明さん【illust/104950834】※公式
悲譜さん・夜鳴さん【illust/106449799】
神無月 鑑【illust/105092513】
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2023-04-30 23:25
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