にとり人形１０

にとりと天狗はカッパの里へ向かった。「…実はな、ほんの少し前、あんたたちカッパの騒ぎを、のぞいたことがあってな…にとり、お前、本当は、カッパたちよりも仕事が出来ていただろう。何故、天狗のところにいるのか、不思議でならない。そして何故か、でくのぼう扱いをされている。天狗のすみかで、何をするつもりで来たんだ？答えようによっちゃ仲間に報告せねばなるまい。スパイなのか、嫌がらせなのか…」
にとりはびくびくして、何も言わなかった。「…も、もし、あたちが邪魔なのだら、出ていくだげ。い、いや、もう、あたちのようなもんが、来ちゃいけなかったんだげ…出て、いかせてください。」「ふむ、納得いかねえな。報告しづらい。本当の理由が、言えねえってのか。」「・・・。」「ここを出て行ったとしてだ。また、カッパの里に戻るのか？」「まだ、決めてないですがにゃ…だげど、そうするしかないかもしれんちね…」「やけに嫌なことがあったとみた。もしかして、本当に追放されたか？」「いえ、されたわけではなく…」「里を捨てたのか？そういうやつなのか？」「・・・・・。」