『巫女さんと賢者様の香霖堂店主攻略日誌 番外編 其ノ弍』
「あっ…あの、」
不意に視線をあげ、その”少女”の方へ視線を送ると先ほどまでの威圧感は消え失せモジモジとした仕草をしながら
「あっ・・っ、あの・・わッ・・わたくしと『友達』になってくれませんかっ?」
そう、節目がちにそう僕に呟いた。
突如として、目の前に現れたその”少女”の言葉に僕は身体は一瞬ビクンっと震えた後、細い枯れ木の様に直立のまま固まった。
半妖としてその生を始めた僕は、生まれた時から”孤独”だった。親の顔も知らず、自分が何者かも判らないまま今まで”独り”で生きた…あの日、『彼女』に出会ったあの日まで。
『賢者様の香霖堂店主攻略日誌 番外編 其ノ弍』
〜★〜
『彼女』の名前は『りんのすけ』。
僕の初めての”友人”であり、初めて優しくしてくれた”人間”であり、初めて好きに成った”女性(ひと)”。
人の命の価値が軽い、戦国の世てありながらも、決して誇りを失わずに最期迄気高く生きた女性(ひと)
大切な友人を亡くした事は、思いの外僕に深く刻まれていて…
この見知らぬ少女の誘いに対し即答で答える事が出来なかった。
「あっあの…どうでしょうか?」
再び少女から発せられたか細い不安そうな声に促され、思考の渦の中から帰還した僕の視線の先でその少女は、もじもじとした仕草で自分の人差し指を合わせながら、まるで捨てられた子犬の様な目で僕の方をじっと見ていた。
(あの日、初めて『りんのすけ』に出会った時もこんな感じの出会いだったな・・)
そう思うと、何故だろう。身体の中央にこう…温かいモノが溢れてくるような気がしたんだ。
僕は意を決すると、今だ眼前でもじもじとしていて居る少女の方へ一歩歩みを進めると、はっきりとした口調でこう言った。
「僕は…”霖之助”、藤原霖之助です。…よろしく。」
この”紫の桜の下”の出会いが、後に僕の人生にとって大きな”意味”を持ち始めるとは…この時の僕には知る由も無かった。
この日この瞬間、時の歯車が狂った方向へ回り始める…、狂狂(クルクル)・・狂狂(クルクル)と。
〜★〜
「…懐かしい夢を見たな。」
僕のこの半人半妖の身体は、元々睡眠が必要ない。
それ故に夢を見る事など稀な事なのだか…ここ数日、懐かしい顔触れを見たせいかそんな夢を見た。
忘れる事はない、忘れられないあの日の事。
まだ現世に居た頃。
"名もなき僕"に優しく接してくれた、『りんのすけ』と初めて出会ったあの日の事。
そして、あの桜色の髪の…
「あ…なた、…!!…だ…!!!」
「…あ…た…!!くぁwせdrftgyふじこlp‼️‼️」
ふと、気づくと何やら香霖堂の店舗スペースの方から喧騒の声が響いてくる。
どうやら、突然襲って来たのを撃退し正座をさせていた"あの人"が誰かと揉めているらしい。
「…やれやれ、面倒事は嫌いなんだが。」
仕方ないと独りごちると、"森近霖之助"は寝巻きから、普段の黒と青の服装に着替えるとはぽりぽりと頭を掻きながら心底めんどくさそうに歩みを進めるのである。
To be continued
「ありがとう…、『✘✘』。
最後のあなたに”再び”見送って貰えるなんて…ふふっ私は幸せ者だったわ。」
この桜の下の出会いから数百年…その物語は『再び』始まる。
おまけ。
今回のイラストは数年前に私が描いた作品の、キャプションだけ一部変更したモノになります。
この作品、実は2部構成になっていまして💧
今回の物語りの後、そのまま霖之助さんの過去から繋がる後日談があります。
その際のフラグを立てる際に使いました。
2部を描くかはわかりませんが(^◇^;)
今も描いているイラストの元となった設定は大体ここから引き継いでいますね、
不意に視線をあげ、その”少女”の方へ視線を送ると先ほどまでの威圧感は消え失せモジモジとした仕草をしながら
「あっ・・っ、あの・・わッ・・わたくしと『友達』になってくれませんかっ?」
そう、節目がちにそう僕に呟いた。
突如として、目の前に現れたその”少女”の言葉に僕は身体は一瞬ビクンっと震えた後、細い枯れ木の様に直立のまま固まった。
半妖としてその生を始めた僕は、生まれた時から”孤独”だった。親の顔も知らず、自分が何者かも判らないまま今まで”独り”で生きた…あの日、『彼女』に出会ったあの日まで。
『賢者様の香霖堂店主攻略日誌 番外編 其ノ弍』
〜★〜
『彼女』の名前は『りんのすけ』。
僕の初めての”友人”であり、初めて優しくしてくれた”人間”であり、初めて好きに成った”女性(ひと)”。
人の命の価値が軽い、戦国の世てありながらも、決して誇りを失わずに最期迄気高く生きた女性(ひと)
大切な友人を亡くした事は、思いの外僕に深く刻まれていて…
この見知らぬ少女の誘いに対し即答で答える事が出来なかった。
「あっあの…どうでしょうか?」
再び少女から発せられたか細い不安そうな声に促され、思考の渦の中から帰還した僕の視線の先でその少女は、もじもじとした仕草で自分の人差し指を合わせながら、まるで捨てられた子犬の様な目で僕の方をじっと見ていた。
(あの日、初めて『りんのすけ』に出会った時もこんな感じの出会いだったな・・)
そう思うと、何故だろう。身体の中央にこう…温かいモノが溢れてくるような気がしたんだ。
僕は意を決すると、今だ眼前でもじもじとしていて居る少女の方へ一歩歩みを進めると、はっきりとした口調でこう言った。
「僕は…”霖之助”、藤原霖之助です。…よろしく。」
この”紫の桜の下”の出会いが、後に僕の人生にとって大きな”意味”を持ち始めるとは…この時の僕には知る由も無かった。
この日この瞬間、時の歯車が狂った方向へ回り始める…、狂狂(クルクル)・・狂狂(クルクル)と。
〜★〜
「…懐かしい夢を見たな。」
僕のこの半人半妖の身体は、元々睡眠が必要ない。
それ故に夢を見る事など稀な事なのだか…ここ数日、懐かしい顔触れを見たせいかそんな夢を見た。
忘れる事はない、忘れられないあの日の事。
まだ現世に居た頃。
"名もなき僕"に優しく接してくれた、『りんのすけ』と初めて出会ったあの日の事。
そして、あの桜色の髪の…
「あ…なた、…!!…だ…!!!」
「…あ…た…!!くぁwせdrftgyふじこlp‼️‼️」
ふと、気づくと何やら香霖堂の店舗スペースの方から喧騒の声が響いてくる。
どうやら、突然襲って来たのを撃退し正座をさせていた"あの人"が誰かと揉めているらしい。
「…やれやれ、面倒事は嫌いなんだが。」
仕方ないと独りごちると、"森近霖之助"は寝巻きから、普段の黒と青の服装に着替えるとはぽりぽりと頭を掻きながら心底めんどくさそうに歩みを進めるのである。
To be continued
「ありがとう…、『✘✘』。
最後のあなたに”再び”見送って貰えるなんて…ふふっ私は幸せ者だったわ。」
この桜の下の出会いから数百年…その物語は『再び』始まる。
おまけ。
今回のイラストは数年前に私が描いた作品の、キャプションだけ一部変更したモノになります。
この作品、実は2部構成になっていまして💧
今回の物語りの後、そのまま霖之助さんの過去から繋がる後日談があります。
その際のフラグを立てる際に使いました。
2部を描くかはわかりませんが(^◇^;)
今も描いているイラストの元となった設定は大体ここから引き継いでいますね、
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2023-06-04 20:53
Comments (5)
妹紅さん、懲罰中だったのか…w これもリンノニウム欠乏症による禁断症状だったんでしょうね…w
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