思い入れ

ポ「にゃー（麦茶）」

R「おおきにポンスケ！　しかし本格的に暑なってきたな～・・・」

（ガチャ）

ソ「ROCKさん、ちょっとエステルちゃんと、岡田さん家でトレーニングしてきますね！」

R「おぉ！　熱中症とケガに気い付けてな！
　・・・ん！？　今日は二人とも珍しく正装やないか！」

エ「そうよ！　暑くなってきたし、体操着でもイイんだけどね！」

ソ「正装は歩くと音がしますから、普段あんまり着ないんですよね(^^;
　でも、あたしに与えられた本来の衣装はこれですし、この格好で
　トレーニングしてこそ・・・っていう思いもあるんですよ！」

エ「・・・そうね。なんだかんだ、わたしも『正装』は大事にしてるわ。
　最近着る機会は少ないけど、ちゃんとメンテナンスもしてるし。」

R「確かに二人とも、鎧がデフォルト衣装、かつ戦闘服ではある。
　・・・でも無理はせんでエエねんぞ？　ワイが勝手に初期デザインで着せた
　だけやし、普段通り、楽な格好でおってくれたら・・・」

エ「大丈夫よ！　この衣装着てると、何だか安心するっていうのもあるし！」

ソ「あ～わかります！　・・何て言うんでしょう・・・
　・・・帰る場所？というか・・・不思議と落ち着くんですよね。」

R「そうか・・・そうか・・・｝

ソ「・・・・ROCKさん？」

ポ「にゃー（？）」

R「・・・・クッ・・・！　ううぅ・・・！」

エ「・・・え！？　ちょ・・・何で泣くのよ！？」

R「うぅ・・・！
　いや・・・何て言うか・・・ワイが考えた衣装に・・・
　二人とも思い入れを持ってくれてるんやと思うたら・・・
　なんか・・・嬉しゅうてな・・・！」

エ「あはは・・・そういうことね！
　ありがと！大事にしてるわよ！　ホラホラ！泣くことないじゃない！」

ソ「ROCKさん、時々急に泣き出すんですよね～(^^;
　はいはいはい！涙を拭いてください！　イイ歳のオジサンがカッコ悪いですよ！」

・

現代社会の生活に馴染み、普段はラフな格好で過ごしている我が家の娘たちですが、デビュー当初、私は二人を「ファンタジー娘」として誕生させました。

私自身、いわゆる中世的な世界観が好きなのと、元々は「戦闘や冒険に対応できるように」という意図もあって武装させたのですが、その後、色々と思うところがあり、平和の道を歩むことを決めてからは、その物々しい武装が活躍する機会は（私へのツッコミを除いて）無くなり、今では２人とも、すっかり現代的な服装が板についてしまいました。

私自身、あまり描かなくなってしまった彼女らの標準衣装。
今日、珍しくその「正装」に身を包んだ当人たちから、デフォルト衣装に対する思い入れを聞き、２人は私が考える以上に、その衣装を大切に思ってくれているのだと知らされました。

二人の言葉に、私はなんだか報われたような気持ちになり、「デザインした甲斐があった」「彼女たちを生み出した甲斐があった」と感激し、思わず涙してしまったのでした。

・

（ その日の夜 ROCK亭リビング　）

エ「（サイダー飲んでる）
　・・・そういえばROCK、どうしてわたしたちの衣装って、この形になったの？」

ソ「あ、気になりますね！」

Ｒ「・・あぁ、デザインのコンセプト的な？
　まずエステルは、どんなゲームでもワイが自分で扱っても敵に回しても
　苦手な『スピード型・遠距離型』職業の要素を敢えて取り入れようと
　思うたんね。　普段やらんことを・・・っちゅう意識かな。
　やもんで、革鎧＋弓のレンジャー系で、この形にしたんよ。」

エ「なるほどなるほど～。　ユウちゃんのは？」

Ｒ「そんなエステルの相棒として前衛を任せられる、力強くもしなやかな
　戦士のイメージで、チェインメイルにした。　プレートアーマーでガチガチの
　重武装というよりは、エステルに呼応して柔軟に立ち回れるような感じね！」

ソ「ずっと一緒に住んでるのに、初めて聞いたかもしれません！
　ウフフ・・・なんだかますます愛着が湧きました♪」

Ｒ「で、そこに自分の好みのニーソとか、ミニスカとかスリットの要素を
　入れたんね！　やっぱりほら・・・たとえレアケースであっても、
　チラリの可能性って持たせた方が、何ちゅうか・・・夢があるやん？」

エ「・・・・ユウちゃん、この服、封印しよっか？」

ソ「魔法金属ですし、スクラップ屋さんに持っていけばお金になるかも？」

R「待ってくれーーーーーーー！！」

ポ「にゃー」