2.萌黄の森

あなたとならどこまでも行ける！（どこまでもついて行く！）
と思えるのは本心だけど、どうしようもなくあなたの優しさに甘えてしまう。

「ねえちとせ。この辺りでひとやすみしませんか？この辺り、曇ってると眠くなって……」

一眠りしたその後にさした木漏れ日でまた心地よくなるのだった。

◇　◆　◇　◆　◇

ちとせさん【illust/83708314】
スァン【illust/83782716】

素敵なご縁をありがとうございました！
うまく描けませんでしたが添えている花はアゲラタムです。

以下はCSの文字数の関係上記載できなくなった文章を移したものです。

◇　◆　◇　◆　◇　◆　◇　◆　◇

僕は逃げるように街を出た後に、出会う彼女から度々情報を買っていた。
「あ！あなたは前にお会いした情報屋さんですよね。おかげであの後いい場所を見つけられたんですよ♪」
「はい！あなたはたくさん情報をくれたでしょう？なので時間もあるし、全部巡ってみたんですよ。……意外でした？」
「いや〜俺は楽しんでいるのでいいんですよ。興味があるなら俺がみてきたこと、お話しますよ……っと、目的を忘れていましたね。俺はまた、あなたの情報を貰いに来たんです」

僕を知らない街を求めていた。そんな中で出会った彼女との時間を楽しみに思う、大切に思う比重が次第に大きくなっていたのかもしれない。
だから僕は、彼女が悪夢に悩まされていると聞いて…………いつも後悔しているのに、言ってしまった。
「俺の光をそばに置いて。俺の光なら、悪夢を払えるかもしれない。ううん、払える。だから悪夢を払う手助けをしたいんだ」

そして今回も案の定僕の光は悪夢を払えなかったらしい。彼女は事実を伝えてきた。
「ありがとう、そうなんだね嬉しいな。全部嘘なんだ、あなたの力にはなれない」
「……ああ？！ ……えっと、ごめんなさい！」
呪いで“ごめんなさい”が歪んでしまうことは分かっていても謝罪の言葉を言おうとするのは僕のエゴだ。
その為思ってもいないことを言ってしまい、ただでさえ光の一件で不信感を抱く相手を更に怒らせたり、不快にさせ二度と合わなかったりする。
彼女の事も怒らせてしまった。立ち去って来てしまったけれど、もう会えないのだろうか。
（……ああ。なんだか………………嫌だなぁ）

時間が経っても心のざわつきは治ることがなく、自分の行いの愚かさにほとほと呆れた。
（どうしよう、どうやってーーーーー）
どうやって何をしようというのだろう。
彼女は自分が今まで切り捨てて来た中の一人になっただけだというのに。
ぐるぐると思考を巡らしていると、ふと手が何かに当たった。
父から貰ったメモ帳だった。

手紙には謝罪の言葉、なぜそっけないことを言ってしまったのか。そもそもなぜ彼女の情報を頼っていたのかーーー。
思いつくだけのことを書いた。
彼女が、信じてくれることを祈りながら。

彼女は最後に出会った場所からそう遠くないところにいた。
「あの……前はごめんなさい、嘘を言ってしまって」
「………………これ、受け取ってもらえますか」

＋　＋　＋

「俺、この手紙を書くまであなたの名前も知らなかったんだ。いや、きみどころかたぶん今まで出会ったひと全て自分から名前を尋ねた事はないかも。必要がなかったから」
「でも、俺はまたきみに会いたい。だから教えてほしいな、きみの名前を」

2.萌黄の森

Comments (0)

Related works