無名の怪異

「あぁ、アレについて?いいよ。知ってる範囲でいいなら。」

「って言っても知らない事ばっかだけど。」

「とにかく近づかない限り無害だよ。前に現れた時もああして月に手を伸ばして、太陽が昇るころにはだんだんと小さくなって消えてた。」

「近づいたらどうなるか?さぁ、僕も知らない。でもこんな田舎でそういった噂を流れてないってことは・・・うん、碌なことにならないってことなんだと思うからやめておきな。」

「僕は見るのは2回目。前?たしか15年前くらいかな。でも昔からちょくちょく現れていたらしいよ。おばあちゃんから聞いたことがあるんだ。」

「まぁ、おばあちゃんから聞いた話も、『現れては月に手を伸ばすばかり』ってぐらいだけど。」

「あぁ、でもたしかこんなことも言ってたな。『アレに名前をつけてはならない』って。」

「どういうことなんだろうね。」

"アレ"は月そのものに興味はない、月にいる"ナニカ"を求めている。

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2023-10-16 01:21

 ウロウロコウモリ


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