【序章】アザミバッドエンド集 -旅立ち-

次週からオリジナルキャラクターのバッドエンド集を始めていきたいと思います。
来週からはリョナパートが続くので暖かい目で見守ってくれると幸いです。

fanboxにて、オマケ程度ですが、背景なしの差分を公開しております。

###以下ストーリー###

とある山の中腹にある小さな村。
都市部から遥か遠くいその村は、
山へ入れば食料が豊富だが、周囲にはモンスターが数多く潜むため、村内で作物を育て、貧しい自給自足の生活を余儀なくされている。
そんな苦しい村の生活を支える一人の娘。
山に入りモンスターを狩り、豊富な食材を調達してくることはほとんどを自給自足で補っているこの村にとって大事な役目である。
過去にそれを担っていた魔導士は病気に倒れ、今はたった一人の教え子である小さな娘がその役割を担っている。

彼女の名前はアザミ。
山に捨てられていたのを村の魔導士に拾われ、育てられた。

「行ってくるね。今日もたくさんご飯を取ってくるからね。」

早朝には村民に見守られる中、今日も山へ出発する。
たれ目で少し太い眉毛。丸い顔が特徴の彼女が優しい表情で小さく微笑む。
魔導士の下で育ったとはいえ、彼女の魔力は決して強力なものではなかった。
その小さな笑みはただ、彼女が皆を安堵させるための優しさである。

「そんなことはいいから無事に帰ってくるんだよ。」
村民は、毎日決まり文句のようなセリフで彼女の出発を見送る。
モンスターと戦う能力を有していない村民たちは皆、小さな彼女に大きな役割を押し付けていることに申し訳なさを感じている。
しかし彼女が山で担う役割は、村民たちにとって代えがたいもので、誰も彼女の出発を止める者はいない。

彼女も自分を止めてくれるものなどいないことを理解しており、
不安と小さな覚悟を持ってモンスターが跋扈する過酷な山へ入っていく。
自分を育ててくれた村の笑顔の為に。
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