もう一度此処に。
妻を探すのに必死で
下ばかり見ていた。
立ち止まることもなかった。
妻の痕跡が、情報が途絶える事を恐れて。
なのに、なぜわしは上を見たのか。
………
『こわい顔をしていたの。
そばにいなくても貴方のことだから
また無茶なことをしていたのでしょう…?』
話し合いが出来ぬ相手との闘い後
付いた血は川で洗って帰路に着いた。
すこし怒ったような、拗ねたような顔で
妻はそれ以上の詮索をすることはなく
ただ困ったように笑っていた。
『…心配をかけて、すまない』
わしの妻に嘘は通じない。
………
もう紅葉の時期じゃったか、
こんなに燃えるような、
力強い色をしておったのか。
はやく、妻ともう一度此処に来よう。
きっと喜んでくれるはずだ。
下ばかり見ていた。
立ち止まることもなかった。
妻の痕跡が、情報が途絶える事を恐れて。
なのに、なぜわしは上を見たのか。
………
『こわい顔をしていたの。
そばにいなくても貴方のことだから
また無茶なことをしていたのでしょう…?』
話し合いが出来ぬ相手との闘い後
付いた血は川で洗って帰路に着いた。
すこし怒ったような、拗ねたような顔で
妻はそれ以上の詮索をすることはなく
ただ困ったように笑っていた。
『…心配をかけて、すまない』
わしの妻に嘘は通じない。
………
もう紅葉の時期じゃったか、
こんなに燃えるような、
力強い色をしておったのか。
はやく、妻ともう一度此処に来よう。
きっと喜んでくれるはずだ。
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2023-11-14 13:47
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