無題

〜オリオン軍 巨大戦艦(旗艦)の中〜

薄暗い会議室(司令室)の中では、空中に表示された立体ホログラムをオリオン軍服を身に纏った数十人の将校たちが取り囲んでいる。

皆、無表情だか真剣な表情で、それを眺め、考えている。

戦況は安定しているが、敵の攻撃は油断出来なかった。

オリオン軍は、惑星地上戦、艦隊戦共に着実な戦果を収めていたが、敵の予期せぬ攻撃には警戒する必要があった。

戦闘経過標準時間88796951、亜空間から突然、敵の艦隊(援軍)が現れたのだ。

我々オリオン軍は、待機中の第二機動艦隊にすぐさま防衛陣形を構築するよう司令した。

敵の艦隊を迎撃し、制宙権を死守しなければならない。

敵の艦隊と第二機動艦隊が交戦を開始した。
規模で言えば、我々オリオン軍の第二機動艦隊の方が上であった。

敵の艦隊は、第二機動艦隊の構築した防衛陣形により、次々と撃破されていった。

しかしその時(戦闘経過標準時間88799715)、第二機動艦隊のすぐ背後から、敵の別の艦隊(援軍)が、亜空間により現れたのだ。
これは非常に深刻な状況であった。

第二機動艦隊は、敵によって挟み撃ちにされ、一気に形勢が逆転してしまった。

約8億7000万kmという近距離戦であった。

第二機動艦隊は、すぐさま戦線離脱の要請をした。

第二機動艦隊の艦船が、次々と撃破されていく中、我々は戦線離脱を許可した。

第二機動艦隊は、緊急亜空間離脱により、すぐさま戦線離脱したが、この時点で、既に甚大な被害が発生していた。

第二機動艦隊は、そのままオリオン軍基地へと帰還した。

問題は、第一機動艦隊であった。
第一機動艦隊は、地上部隊を支援していたが、その数は極めて少ない。
敵の援軍が迫ってきており、このまま交戦しても、敗北するのは火を見るより明らかだった。

しかし、ここで第一機動艦隊の戦略的撤退を指示することは、地上部隊を見捨てることに等しかった。

ここで、我々は非常に頭を悩ませた。
だが、戦争とは時間との勝負、早急に決断しなければならなかった......

その時、エクナクト最高司令官は、この状況に対する打開策を提言した。

地上部隊は、敵の要塞施設を陥落させる寸前であった。
そのため、敵の要塞施設を占領し、人質を取り、オリオン軍艦隊の援軍が来るまで立て篭もるのだ。
さうすれば、敵の艦隊は、軌道爆撃を行うことが出来ない。

もしここで、地上部隊に撤退指示を出したとしても、離脱することはできない。
全ての兵を回収することはできぬし、母船が離陸しようとしたところで、敵の艦隊の集中砲火を受けて撃破されてしまうだろう。

すぐさま、我々は指令した。

オリオン軍の地上部隊は、敵兵を人質に取り籠城したが、幾つかの部隊は、戦艦からの支援が無くなったため、敵の猛攻撃により撃破されてしまった。
だが、残存兵力は十分にあった。

敵は、地上部隊を率いて攻めてきた。
長く籠城することはできないだろう。

敵の装甲戦力の方が、数が上であった。
残念ながら、オリオン軍の装甲戦力は既に大半が撃破されてしまっていた。

オリオン軍の大規模艦隊の援軍が到着した。
敵艦隊を撃破し、制宙権の奪還を行う。

大規模艦隊は、敵の艦隊と交戦している。
我々の艦隊が勝利するだろうが、少し時間が掛かる。
その間、地上部隊が持ち堪えられるかどうかは、分からない。少なくとも、ある程度の損害は発生してしまうだろう。