程商(SS付き)
絵を描きながら浮かんだ話をSSにしてみました。
原作とドラマが混ざった設定になっています。
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とある日の朝、
水雲楼の一番奥の母屋。
商細蕊が幕を開けて外に出てくる。
腕をぐるぐると回して屈伸を何度かして、筋を伸ばし、ふぅーと息を吐く。
軽く体がほぐれたところで、中庭で朝稽古をする座員たちを遠目に眺める。
間違った体の使い方をしていないか、適当にしていないか、座員たちの姿をひとりひとり確認する。
母屋の方を見た座員が気づいて「班主が見ているぞ」と他の座員に伝えると、座員の背筋が一層ピシッと伸びた。
しばらくして程凤台も幕を開けて表に出てきた。
商細蕊と違って、彼は朝に弱く、身支度にも時間がかかる。
う~ん、と腕を広げて伸びをする。
昨晩は自宅で夕食を済ませたが、そのあと急用で外に出て、なんとなくまた家に戻る気にならなくて水雲楼へ車を走らせてしまった。
商細蕊はちょうど寝る支度をしていたところだったので、そのまま一緒に寝たというわけだ。
商細蕊は腕組みをしながら立ち、座員達からは死角となる位置に居て、セリフ回しを聞いている。
程凤台は商細蕊の傍まで来て、瞳を閉じた彼の横顔を見やる。
長いまつ毛、ツンと上がった鼻筋、はっきりとした唇の輪郭。
青年なのに子供のようなきめの細かい透き通るような肌をしている。
春の朝の陽ざしがあたり、柔和温順な彼の姿を見て、程凤台は美しい。と心がときめいてしまう。
朝になるまで布団の中でそうしていたように、商細蕊を引き寄せる。
嫌がるかな、と思ったがそうでもなく、商細蕊の左肩が程凤台の胸にあたり、腕の中におとなしく納まる。
眺めていた顔が鼻先まで近づき、無意識に手が伸びて頬をなぞってしまう。
「二爷、…触るのは構いませんが」
「?」
「つまむのはやめて」
眉を少し寄せて、閉じられていた瞳が薄く開く。
あまりに触り心地が良くて、無意識につまんでしまっていたようだ。
ぱっと指を放す。
今朝の商細蕊は機嫌が良いらしい。いつもなら口で言うより先に撥ね退けられるのに。
「商老板、腹が減っているだろう、朝食は何にしようか?」
商細蕊は動かず程凤台の方に寄りかかったまま。
「・・・」
「・・・ん?何が欲しい?」
「肉・・・と、」
商細蕊がおもむろに顔をあげ、程凤台の唇に唇を合わせる。
「風呂に入りたい」
程凤台は一瞬何が起こったのか理解できなかったが、風呂に入りたいという事は熱い湯の出るシャワーがあるホテルに連れていけということなのだ。
それでお願いのキス?
フッ、と笑いがでてしまう。
「いいよ、行こう。俺も汗をかいたから入りたいと思っていたんだ。一緒に入ろうか?」
「それはいらない、ひとりでいい」
プイッと逆の方向を向くので頬を掴んでこちらを向かせ、目を合わせる。
「どうしてだい?昨日一緒に汗を流した仲じゃないか、シャンプーで髪を洗ってやるよ、気持ちいいぞ」
ばっ、っと寄りかかっていた身体を放し、座員のいる中庭の方へ歩いて行く商細蕊。
程凤台はジャケットと帽子を母屋に取りに戻り、合流する。
「二爷、二爷、私たちと一緒に食べて行かないのですか?」
商細蕊から聞いたのだろう。
二爷の分の饅頭も用意しておいたのに…と、一緒に食事ができると期待していた女の座員達が寂しそうに見つめてくる。
程凤台は食べてからでも、と思ったが商細蕊の姿を探すと、気の早い事、階段を上がって門をくぐろうとしている。この男はそうと決めたら一直線、行動が早い。
「悪いね、行かなくちゃ。これで肉でも買っておかずの足しにしてくれ」
内ポケットから紙幣を取り出して座員に渡す。
女達は「えーー」という顔をしたが、男達は紙幣を手にニコニコとしながら商老板を追い越して外へ駆け出て行った。
程凤台も速足で門の方へ向かった。
原作とドラマが混ざった設定になっています。
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とある日の朝、
水雲楼の一番奥の母屋。
商細蕊が幕を開けて外に出てくる。
腕をぐるぐると回して屈伸を何度かして、筋を伸ばし、ふぅーと息を吐く。
軽く体がほぐれたところで、中庭で朝稽古をする座員たちを遠目に眺める。
間違った体の使い方をしていないか、適当にしていないか、座員たちの姿をひとりひとり確認する。
母屋の方を見た座員が気づいて「班主が見ているぞ」と他の座員に伝えると、座員の背筋が一層ピシッと伸びた。
しばらくして程凤台も幕を開けて表に出てきた。
商細蕊と違って、彼は朝に弱く、身支度にも時間がかかる。
う~ん、と腕を広げて伸びをする。
昨晩は自宅で夕食を済ませたが、そのあと急用で外に出て、なんとなくまた家に戻る気にならなくて水雲楼へ車を走らせてしまった。
商細蕊はちょうど寝る支度をしていたところだったので、そのまま一緒に寝たというわけだ。
商細蕊は腕組みをしながら立ち、座員達からは死角となる位置に居て、セリフ回しを聞いている。
程凤台は商細蕊の傍まで来て、瞳を閉じた彼の横顔を見やる。
長いまつ毛、ツンと上がった鼻筋、はっきりとした唇の輪郭。
青年なのに子供のようなきめの細かい透き通るような肌をしている。
春の朝の陽ざしがあたり、柔和温順な彼の姿を見て、程凤台は美しい。と心がときめいてしまう。
朝になるまで布団の中でそうしていたように、商細蕊を引き寄せる。
嫌がるかな、と思ったがそうでもなく、商細蕊の左肩が程凤台の胸にあたり、腕の中におとなしく納まる。
眺めていた顔が鼻先まで近づき、無意識に手が伸びて頬をなぞってしまう。
「二爷、…触るのは構いませんが」
「?」
「つまむのはやめて」
眉を少し寄せて、閉じられていた瞳が薄く開く。
あまりに触り心地が良くて、無意識につまんでしまっていたようだ。
ぱっと指を放す。
今朝の商細蕊は機嫌が良いらしい。いつもなら口で言うより先に撥ね退けられるのに。
「商老板、腹が減っているだろう、朝食は何にしようか?」
商細蕊は動かず程凤台の方に寄りかかったまま。
「・・・」
「・・・ん?何が欲しい?」
「肉・・・と、」
商細蕊がおもむろに顔をあげ、程凤台の唇に唇を合わせる。
「風呂に入りたい」
程凤台は一瞬何が起こったのか理解できなかったが、風呂に入りたいという事は熱い湯の出るシャワーがあるホテルに連れていけということなのだ。
それでお願いのキス?
フッ、と笑いがでてしまう。
「いいよ、行こう。俺も汗をかいたから入りたいと思っていたんだ。一緒に入ろうか?」
「それはいらない、ひとりでいい」
プイッと逆の方向を向くので頬を掴んでこちらを向かせ、目を合わせる。
「どうしてだい?昨日一緒に汗を流した仲じゃないか、シャンプーで髪を洗ってやるよ、気持ちいいぞ」
ばっ、っと寄りかかっていた身体を放し、座員のいる中庭の方へ歩いて行く商細蕊。
程凤台はジャケットと帽子を母屋に取りに戻り、合流する。
「二爷、二爷、私たちと一緒に食べて行かないのですか?」
商細蕊から聞いたのだろう。
二爷の分の饅頭も用意しておいたのに…と、一緒に食事ができると期待していた女の座員達が寂しそうに見つめてくる。
程凤台は食べてからでも、と思ったが商細蕊の姿を探すと、気の早い事、階段を上がって門をくぐろうとしている。この男はそうと決めたら一直線、行動が早い。
「悪いね、行かなくちゃ。これで肉でも買っておかずの足しにしてくれ」
内ポケットから紙幣を取り出して座員に渡す。
女達は「えーー」という顔をしたが、男達は紙幣を手にニコニコとしながら商老板を追い越して外へ駆け出て行った。
程凤台も速足で門の方へ向かった。
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2023-12-30 15:27
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