-Sight-

#withHandalaというtwitter上のキャンペーンに賛同しました。
スパム対策のため、作品にユーザーIDも記載しました。

本企画の題にある「ハンダラ」はパレスチナ出身の漫画家、ナジ・アル＝アリの代表的キャラクターで、パレスチナ人のアイデンティティ、抵抗のシンボル、そして作者の分身となっています。
ボロを着た裸足のハンダラ少年は10歳で生まれ、これからもずっと10歳で居続けます。
それは作者が1948年のイスラエル建国に伴うナクバ(大惨事の意)によって10歳で故郷を追われた事に由来し、後ろ手を組んで画面に背を向けながら世界を見つめています。
石油王の金満家を、有刺鉄線の向こう側を、裸で壁に打ち付けられ、銃で撃ち殺された人々の姿を。
止まってしまった彼の時を動かすのは、故郷に戻る時だけ。
ハンダラはまだ、子どものままです。

アル＝アリは1987年に暗殺され、今日に至るまでパレスチナは恐怖に脅かされています。
遠く日本に住む私たちにはただ、知ることしか出来ない。
たかが1枚の絵で何かが変わるかも分からない、それでもこんな惨事にはもうウンザリだ、そう思う仲間がここにもいると伝えたかった。
歴史は繰り返されるんじゃない、忘れるから繰り返すんだ。
忘れない、ウンザリだ、もうやめろと何年、何十年先と描き残すのが芸術という役目ではないか。
いつかハンダラ少年が大人になって、慣れない酒でも一緒に飲める時・・・いやお酒は確かダメでしたね、故郷の食卓でご一緒する時まで私もそこで、立っています。

〈追記〉
この手の企画(それ以前にネットで投稿されるイラストの類い全般)では題名のない作品が大半かと思いますし、熱を逃がさないため短期集中一発描きの作品になりましたが、やはり題名は私の作品のセオリーとして付けてあります。
遠くからパレスチナを「見つめる」私たちと、いま正にパレスチナの人々に向けられている銃の「照準器」のダブルミーニングとして"sight"という言葉を選びました。

パレスチナ問題をまとめた動画を見つけましたので最後にこちらも紹介いたします。
パレスチナ問題について少しでも理解に繋がればと切に願っています。
https://www.youtube.com/watch?v=V1L2hC2tG6o