繰万寿(栗まんじゅう)
繰万寿(くりまんじゅう)は永劫を生きるものである。
或いは、宇宙の誕生から終末までを観測し、全てを識るものである。
幾万の宇宙の発生から消滅までを繰り返し生きるという、天寿をも超えた長命の存在のはずだが、小可愛(ちいかわ)達の前に現れる時にはほぼ必ず酩酊しており、その傍らに酒を欠かすことがない。
ただ一人だけ寿命がなく、全てが死に絶えても一人だけ存在し続ける事に耐えられるものはいない。
飲酒行為は、無限を生きる繰万寿が正気に戻らないために行っている逃避行動であり、酩酊する事により無限の人生への重圧を和らげているものとされる。
特徴的な外見をしており、頭蓋を強化プラスチックへと改造して脳が見えているが、これは定期的に頭蓋内を満たしているアルコールを継ぎ足す為、取り外しが可能な構造となっている。
また、酒を絶ち正気に戻った状態の繰万寿は、過去・現在・未来全ての内容と宇宙の秘密について答えると言う。
繰万寿の人生は無限であり、その無限は過去にも未来にも伸びている。
よって、繰万寿にとっては未来の出来事でさえ、無限時間前に無限回経験した出来事となる。
故にあらゆる出来事を知っており、パラレルワールドのような多次元に渡る選択肢の全てにも繰万寿は同時に存在する。(彼にとっては既に過去にも起きた事象であるため、存在していたという方が正しい)
ただひたすら生き、苦悩するもの。
寂滅を願うもの。
それが繰万寿である。
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2024-01-05 11:03
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