Shall we dance?

「どうしてもと言うなら。踊ってあげない事も、無きにしも非ず!!」

変にかしこまった文、虚勢を貼って震えた声。それら全てを吹き飛ばすような溜息が場を支配した。

「姉さん」「無理」

絶対零度の視線が肌に刺さる。沈黙が気まずいものとは思わないが、流石に居心地が悪かった。

「……はぁ」

再び弟の大きな溜息。ドレスの裾を握る私の手は嫌に湿って小刻みに震えている。それは恥ずかしさ故か、今後の不安故か。

「折角、僕に似て可愛い顔なのに。もったいないよ」

息を吐くように紡がれた、思わぬ発言に目を丸くする。そんな自惚れを言い出すなんて、らしくないと口を尖らせば、弟はやれやれと言わんばかりに首を竦める。

「姉さんが何時も僕を可愛いって言ってるじゃないか。双子なんだから、君も必然的にそうなるだろう?」

……食えないやつ。でも、嬉しかった。何事も無かったように戻った記憶を受け入れ、私を姉と認めてくれた事が?家族を取り戻したことが?分からない。でも、それでいい。今という一瞬だけが事実であり、その事実が存在しているのだから。

「……アンタは狡いわ」

「さぁ、立って!!もう一度だ!」

残り時間は3日。雀の百まで踊り忘れずという。果たして、私は何かを変えることができるのだろうか。

本体修正 眉毛 口 鼻 髪・瞳の一部 頬の汗

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2024-02-11 18:41

 みょーん


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