エデンで一番重い女
ある日、ゾーエーとエクレシア(珍しい組み合わせに思えるけど、実はそこまででもない)で話し合っていた時のことだ。
なんの話のはずみかは忘れたけど、エデンで一番重い女は誰かという話になった。どういう話のはずみだよって言いたくなるけどさ、ゾーエーは仕事中で会話の処理リソース食われてたし、私は遺物捜索の仕事後で疲れてたし、エクレシアはまあ、あんな性格だからさ、気が付いたらそういう話になってたっていうか。
「重い、な。それは、物質的に? 概念的に? 性格的に? 外見的に?」
「外見まで含めていいなら、一番重いのお前で確定だけど」
「重厚な美しさということであるな? ふっ、悪い気分はせぬが...。___ああ、話のくだり的に性格の話だろう? わかっておる」
訂正の一言を入れる前に、ゾーエーは冗談だと断って、笑う。たぶん、エデンの神機中で一番ユーモアのある神機は、仕事の手を止めてうーんと考え込むと、私のほうを見る。
え? もしかして私か?
「アミ」
なんだ。
「否定はしないけど、あいつは愛が重いだけだぞ」
「愛と性格は違うのか。まあ、なんとなくは理解できるが...。ちなみに、お前の意見は?」
「レーベン。いざとなったらエノアのこと監禁...いや、軟禁しそう。無意識で」
「ハッ。確かにな」
かわいそうに。レーベンがいざというとき重そうだという意見は、ゾーエーも共通して持っているらしい。
まあ、前世の今際が「機械を愛せる人間になりたぁい」だった奴が、軽い性格のわけもないが。
「ちなみにエクレシアは?」
「エノア」
「ほぉー、それはどうして?」
「本体ノ重量ハ、約6万3251トン256kgト少シ。エデンデ一番重イ」
「お前さん、さては話を聞いてなかったな?」
それとも新手のジョークか? 問いただしてやると、意外なことにさっきの総重量のくだりはジョークらしい。ずいぶん上手な枕だなと褒めてやると、これはさすがに伝わらなかったのか、古風なしゃべり方をするゾーエーにすら首を傾げられた。
知識欲の塊みたいな神機だ。どういう意味かと聞いてくるけれど、洒落のつもりで言ったことを自分で解説するのなんざ、恥ずかしくて仕方がない。それに、私だって日本語は気分で使ってる。間違えてたら嫌だから、追及は必死にごまかした。
んなことより。
「重量のくだりはともかくとしてさ、それってエノアが性格的に重い、って言ってるわけだろ? なして?」
いやもう、その点だけが引っ掛かっている。
エノアっていえば、誰がどう見たって重い性格には見えない。見た目からして天使だし、性格だって天使。純粋無垢って言葉があれほど似合う存在はいないってくらい、きれいな生き物だ。
それを重いっていうのは、なんていうか珍しい。ゾーエーは得心が言った顔だけど、私だけがついていけていなくて、困る。
「君タチ人間ノタメニ同胞ヲ皆殺シニスル神機ノ性格ガ、重クナイワケガナイ」
「えぇ? それはなんていうか、暴論じゃね?」
「どうであろうな。あいつ、お前たちのことを自分の娘だと思っておるからな。その時点で重いと思うが」
「いや、うん。否定できなくなってきたけど」
いや、事実ではあるけど。
そこらへんがエノアの怖いところでもあるというか。
冷静に考えて、私の母親って、アイツであってさ、エノアではない。確かにエノアが作った世界から生まれたけど、イコールエノアの娘っていうのはちょっと違うよな。
でも、エノアは若干そこをはき違えてるっていうか、人間だから大事って言うよりは、自分が生んだ存在だから大事って言う、若干ヘビー級の感情を乗せてくることがある。
そう考えると、確かに重いのはエノアかもしれないけど、いや、それを認めたくないっていうか。わかんないかな?
「とりあえず保留で」
「保留もクソもなかろうに」
「いや! それを認めると、私はもうエノアをまっすぐ見れなくなる」
「わかったわかった。好きにせよ」
ゾーエーはひらひらと、興味なさげに手を振る。ガチでどうでもいい時の反応だけど、ゾーエーがやると上品に見えるのが悔しい。私があんなことやってみろ、ぶん殴られるぜ。
アミに。いや、もちろん冗談だけど。
「っていうか第八神機一派から選んでるけど、トリニティも十分重くね? ハイムとか」
「あれは自分のことがかわいくて仕方がないだけであろう。それに、頭が軽い分で相殺だ」
「ナチュラルにディスるじゃん」
「可愛がってはおるぞ。...添い寝はともかく、ナイフでめった刺しは拒否したが」
「重いじゃねーか!!」
ナイフでめった刺しって。
「余をめった刺しではないぞ。余がハイムをめった刺しだ」
「余計重いわ!!」
なんだよそのメンヘラ重量級女。
「まあ、否定はせぬがな」
ゾーエーはあきらめきったような声音で、そう言った。
うへー、いろいろ大変そー、とは思うけど、まあトリニティの問題はトリニティでどうにかしてくれ。
「で、オチは?」
右下の文字数を見ながら、私は聞いてみる。ゾーエーはきょとんとした顔でこちらを見つめた後に、これ以上ないほどいい顔で笑い、言った。
「ないな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<報告>
絵に関係のない話しか浮かばなかったです。
小説については、そのうち、出します。たぶん。メイビー。
それにしたっていい笑顔。
なんの話のはずみかは忘れたけど、エデンで一番重い女は誰かという話になった。どういう話のはずみだよって言いたくなるけどさ、ゾーエーは仕事中で会話の処理リソース食われてたし、私は遺物捜索の仕事後で疲れてたし、エクレシアはまあ、あんな性格だからさ、気が付いたらそういう話になってたっていうか。
「重い、な。それは、物質的に? 概念的に? 性格的に? 外見的に?」
「外見まで含めていいなら、一番重いのお前で確定だけど」
「重厚な美しさということであるな? ふっ、悪い気分はせぬが...。___ああ、話のくだり的に性格の話だろう? わかっておる」
訂正の一言を入れる前に、ゾーエーは冗談だと断って、笑う。たぶん、エデンの神機中で一番ユーモアのある神機は、仕事の手を止めてうーんと考え込むと、私のほうを見る。
え? もしかして私か?
「アミ」
なんだ。
「否定はしないけど、あいつは愛が重いだけだぞ」
「愛と性格は違うのか。まあ、なんとなくは理解できるが...。ちなみに、お前の意見は?」
「レーベン。いざとなったらエノアのこと監禁...いや、軟禁しそう。無意識で」
「ハッ。確かにな」
かわいそうに。レーベンがいざというとき重そうだという意見は、ゾーエーも共通して持っているらしい。
まあ、前世の今際が「機械を愛せる人間になりたぁい」だった奴が、軽い性格のわけもないが。
「ちなみにエクレシアは?」
「エノア」
「ほぉー、それはどうして?」
「本体ノ重量ハ、約6万3251トン256kgト少シ。エデンデ一番重イ」
「お前さん、さては話を聞いてなかったな?」
それとも新手のジョークか? 問いただしてやると、意外なことにさっきの総重量のくだりはジョークらしい。ずいぶん上手な枕だなと褒めてやると、これはさすがに伝わらなかったのか、古風なしゃべり方をするゾーエーにすら首を傾げられた。
知識欲の塊みたいな神機だ。どういう意味かと聞いてくるけれど、洒落のつもりで言ったことを自分で解説するのなんざ、恥ずかしくて仕方がない。それに、私だって日本語は気分で使ってる。間違えてたら嫌だから、追及は必死にごまかした。
んなことより。
「重量のくだりはともかくとしてさ、それってエノアが性格的に重い、って言ってるわけだろ? なして?」
いやもう、その点だけが引っ掛かっている。
エノアっていえば、誰がどう見たって重い性格には見えない。見た目からして天使だし、性格だって天使。純粋無垢って言葉があれほど似合う存在はいないってくらい、きれいな生き物だ。
それを重いっていうのは、なんていうか珍しい。ゾーエーは得心が言った顔だけど、私だけがついていけていなくて、困る。
「君タチ人間ノタメニ同胞ヲ皆殺シニスル神機ノ性格ガ、重クナイワケガナイ」
「えぇ? それはなんていうか、暴論じゃね?」
「どうであろうな。あいつ、お前たちのことを自分の娘だと思っておるからな。その時点で重いと思うが」
「いや、うん。否定できなくなってきたけど」
いや、事実ではあるけど。
そこらへんがエノアの怖いところでもあるというか。
冷静に考えて、私の母親って、アイツであってさ、エノアではない。確かにエノアが作った世界から生まれたけど、イコールエノアの娘っていうのはちょっと違うよな。
でも、エノアは若干そこをはき違えてるっていうか、人間だから大事って言うよりは、自分が生んだ存在だから大事って言う、若干ヘビー級の感情を乗せてくることがある。
そう考えると、確かに重いのはエノアかもしれないけど、いや、それを認めたくないっていうか。わかんないかな?
「とりあえず保留で」
「保留もクソもなかろうに」
「いや! それを認めると、私はもうエノアをまっすぐ見れなくなる」
「わかったわかった。好きにせよ」
ゾーエーはひらひらと、興味なさげに手を振る。ガチでどうでもいい時の反応だけど、ゾーエーがやると上品に見えるのが悔しい。私があんなことやってみろ、ぶん殴られるぜ。
アミに。いや、もちろん冗談だけど。
「っていうか第八神機一派から選んでるけど、トリニティも十分重くね? ハイムとか」
「あれは自分のことがかわいくて仕方がないだけであろう。それに、頭が軽い分で相殺だ」
「ナチュラルにディスるじゃん」
「可愛がってはおるぞ。...添い寝はともかく、ナイフでめった刺しは拒否したが」
「重いじゃねーか!!」
ナイフでめった刺しって。
「余をめった刺しではないぞ。余がハイムをめった刺しだ」
「余計重いわ!!」
なんだよそのメンヘラ重量級女。
「まあ、否定はせぬがな」
ゾーエーはあきらめきったような声音で、そう言った。
うへー、いろいろ大変そー、とは思うけど、まあトリニティの問題はトリニティでどうにかしてくれ。
「で、オチは?」
右下の文字数を見ながら、私は聞いてみる。ゾーエーはきょとんとした顔でこちらを見つめた後に、これ以上ないほどいい顔で笑い、言った。
「ないな」
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<報告>
絵に関係のない話しか浮かばなかったです。
小説については、そのうち、出します。たぶん。メイビー。
それにしたっていい笑顔。
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2024-03-17 20:49
Comments (8)
天然お嬢様キャラだと思ってたら箱庭で一番ヤバい女だったアミ姉様.....
このゲームのキャラ重くて狂った奴ばっかですからね……。あと総重量で言うと眷属含んだロゴスがたぶん一番重い(本体はブッ壊したけど)
View Repliesリリーを忘れないでほしいんですケド
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