【動画視聴記念】HOLOLIVE FanArt

特定の友人しか今はいなく、先輩と後輩という上下関係も薄味の水のような、何とも言えない感じだ。
ゆえに、一人でゲームをする時間が多くなるわけだが、どんなに美味しいガムも噛み続け過ぎて味が薄くなってきていた。
そんな時に薦められた『Vtuber』の動画。名前だけ教えられて、何の前知識もないままに視聴した。

海賊船を持たない海賊船長、総合格闘技部とe-sports部のマネージャー、寂しがり屋なうさ耳の女の子、おにぎり屋さんを経営してるおばあさんに飼われてる猫、都会にあるパン屋さんにいる犬、社会勉強をする小悪魔。
何という個性的な肩書の面々だ。そして見知らぬ彼女たちは、見知ったゲームをしている。
新鮮さを感じたことに驚いた。あんなにプレイしてきたはずなのに。
さらに特筆すべきことは、ゲームプレイ中に起こる様々なイベントやアクシデントに賑わいつつ、画面端の濁流からコメントを適宜拾い上げているのだ。
古代の偉人である聖徳太子は一度に十人の話を聞き分けて理解したといわれるが、ただの伝説ではないのかもしれない。

日々進化し、時に改悪が行われるゲームだが、それ自体が面白さを失ったんじゃなかったんだ。
彼女たちはあまりにも基本的で、当たり前のことにすら一喜一憂し、仲間と共有しながら賑わっている。それだけなのに私には新鮮に見えた。
「言葉」の偉大さ、コミュニケーションの重要性を感じさせた瞬間だった。
味のしないガムは私の方だったのだ。

しかし私はコミュニケーションが下手だ。
上手く伝えられるだろうか、不快に思われたら……。そんな考えが言葉を発するよりも先行する。
この行き場を失った感情はどこへ向かうのだろうか。

そして私は、その答えを求めて再生ボタンを押下する。