「蒼々のフリーレン」

それは一人ぼっちのエルフが思い出を胸に、想い人の花を咲かせ続けた物語。

家族と仲間を失った一人のエルフが、人間の魔法使いに拾われ。
復讐の道具として、育てられていく過程で、心は薄れた。
得たモノは、復讐する力、思い出、そして花を咲かせる魔法。

一人ぼっちの時間が暫く続いて。

迷子の少年をエルフは導いた。
少年は孤児で、家族に飢えていた。
故に、導いてくれたエルフのことをいつまでも覚えていた。

エルフが瞬きするほどの時間が流れて、成長した青年がエルフを導いた。
彼女が使う、花を咲かせる魔法をよく褒めた。
エルフは気づかない、心にひっそりと咲いた花の正体を。
再び瞬きするほどの時間が流れて、二人は別れた。
再会を約束して。

50年の時間が経って、青年は老人になっていた。
再び、二人と仲間たちは旅に出た。
エルフにとっては数秒のような、短いやり取りの中で、かつての思い出に花を咲かせた。
目的を果たして、間もなく老人はこの世を去った。
葬送たる時間の中で、エルフは別れの意味を理解していなかった。

時を刻む鐘の音が響く、郊外に「勇者」と謳われた老人が、ひっそりと埋葬されていく。
墓守が淡々と、棺に土を被せていく。
まるで、散ってしまった花を埋めるかのように。
エルフは別れの意味を理解してしまう。
もう二度と、老人と旅に出ることはない。
初めて花を咲かせる魔法を褒めてくれた人はいないのだと。
エルフの乾いていた瞳から大粒の涙が大地を濡らした。
エルフと人間の時間はあまりにも違うことに。
今の今まで、気づくことができなかったのだ。
いくら後悔しても時間は戻ってはくれなかった。

エルフはその後も葬送たる時間を多く費やし、その度に人の心を理解していった。
花は枯れることはなく咲き続けた。
誰も彼もがその花に魅了されたが、花を咲かせたエルフの名前すら誰も知らない。
風化していく、葬送たる時間。
エルフはその命が尽きるまで、青々たる花道（蒼々のバージンロード）を歩き続けた。

長々と妄想、垂れ流しました、すみません。IFストーリーでそんな妄想でした。