【ポケサガ】旅情人心

熱い。
砂漠の真ん中で、一人と二匹‥もとい三匹が練り歩いている。
同行者の二匹はいつのまにか忽然と姿を消しており、
その事が不測の事態であるのは現同行者であるレントラーの表情から見て取れた。

（なんだか面倒な事に巻き込まれそうだな…）
（だが道を教えてもらったし、そもそもこの砂漠でいつものように行動するのは自殺行為か）
（であればこの…レントラー、だっけか？こいつに着いていくというのも手ではあるか）
（怪我ぐらいなら治す手段はあるし……それにしたって）

熱い。
それはそうだ、砂漠という地帯は日中は遮蔽物もないため、じりじりと太陽に焼かれるしかない。
おまけに砂は風で巻き上がり、多分国名であろう場所はなんだか視界が悪そうだった。
笠は被っているが…二足歩行だと砂に足を取られやすい。

かくなる上は。

ポンという効果音が聞こえたようなそうでないような。
先導していたレントラーは、背後の気配が変わったのを察知すると振り向いた。
そこには本来いた人間の子供の影はなく―――

「こっちだ」

見下ろすと小さな恨み狐がそこにいた。

「…お前、ゾロアだったのか」
「人間に化けた方が便利だったからな」
「まぁ、そうだろうが…もしイサヴァンに行くなら、人間の姿の方が良いんじゃねぇか？」
「なんで？人間もポケモンも共存してます～みたいな世界だと思ってたんだけど」

横からスイの疑問が飛んでくる。
まぁ俺も概ねそう把握していた。
少なくとも今まで出会った人達は人間だろがポケモンだろうが分け隔てなく接していた気がするが。

「……そうじゃない国もあるってこった」
「ふーん」

熱いなぁ、ほんと。
いや、思考放棄したけど実際国やら政治やらのあれそれって関わりたくないんだよな。
そもそも外野なんだからよ。
俺たちが出来るのって、目の前の奴とか、そいつの同行者が怪我したときに治してやるくらいが関の山だし。
ひとまず国に近づくならまた人の姿を取るか…面倒だな…いや既にこの世界に来てからそうではあるんだが。
そんな事をつらつらと頭の中で巡らせながら、三匹は砂漠を歩いた。

◆お借りしました
カイさん【illust/115918544】

スイちゃん【illust/115959051】
進化って何？【illust/115959054】