創戎騎キューティーベル 115

ジュリアは、創戎騎キューティーベルの中でも特に優秀なパイロットとして知られていた。彼女の才能は天性のものであり、その正確な操縦技術は数々の戦闘で証明されてきた。そんな彼女が次世代機のテストモデルのパイロットに選ばれたのは当然のことだった。

次世代機「ストラトベル」は、戎玉のエネルギーを利用した推力搭載型の創戎騎だ。背部に装着された推力エンジンは、上下の推力に特化しており、縦横無尽の動きを可能にする。ジュリアはこの新しい機体に興奮を覚えつつも、冷静にその性能を評価する任務に就いた。

テストフライトの日、ジュリアはストラトベルに搭乗し、操作パネルを確認した。エンジンが稼働し始めると、機体はスムーズに上昇し、まるで空を滑るように移動する。その速さと機動性にジュリアは驚きを隠せなかったが、同時にその不安定さも感じ取っていた。

「ストラトベル、推力エンジンの制御に難がある。エンジンの出力が不安定で、長時間の運用には改良が必要だ。」ジュリアはテスト飛行のデータを分析し、改良点をメモしていく。

次に彼女が試したのは戦闘シミュレーションだった。ストラトベルの上下の推力を利用して、敵の攻撃をかわしながら反撃を繰り出す。驚異的な機動力により、ジュリアは敵を圧倒的な速度で翻弄することができたが、そのたびにエンジンの負荷が増し、過熱状態になることもあった。

「戦場での運用には改良の余地があるわね…。」ジュリアは、テスト飛行の終了後に冷却装置を確認しながら独り言をつぶやいた。機体のポテンシャルは高いが、その実用性にはまだ課題が残されていた。

ジュリアの特殊能力は「エアリアルスラッシュ」と呼ばれるもので、推力エンジンのエネルギーを利用して空中で超高速の斬撃を放つことができる。この能力は、特に空中戦において絶大な効果を発揮する。彼女が操縦するストラトベルは、この能力を最大限に引き出すための機体だった。

その日、ジュリアはテストフライトの報告書を提出し、改良点について詳細に記述した。「ストラトベルは素晴らしい機体だけど、推力エンジンの制御システムと冷却機構の改良が必要です。このままでは戦場での長時間運用は難しいでしょう。」彼女の報告は技術部門に送られ、さらなる改良が検討されることとなった。

ジュリアはストラトベルのコックピットを降りると、機体に向かって小さく囁いた。「いつもありがとう、ストラトベル。次はもっと強くなるから、一緒に頑張ろうね。」彼女にとって創戎騎は単なる武器ではなく、共に戦う大切な友達だった。

これからもジュリアはストラトベルと共に戦い続ける。改良が進み、機体が完成形に近づく日を信じて。彼女の決意と友情は、創戎騎キューティーベルの未来を照らす希望となっていた。