狂愛

「矢張り女は女だな。花の簪を挿して来るとは！　それとも私を愚弄し心乱そうと講じた案か！」

「非ず。我らのどちらかがその命散らした時の手向けの花と思われよ」

「当方は、果たし合いのつもりで来たが」

「私は首を刎ねるつもりで来た」

「立ち会い人もなく、か、勝者も罪に問われるぞ」

「それが嫌なら大人しく殺されろ」

そう、貴方様のご指摘通り私は女で御座りまする。心奪われた〝あの日〟からずっと望んで参りました。妻になれぬのなら私がその命を終わらせたいと狂った恋情を募らせて参りました。
必ずやお命頂戴申し上げまする。
そして貴方様の鮮血したたる刀で私も……必ずや逝きます故に。