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名コンビ

ロンが一色刑事って呼ぶときとトトって愛称で呼ぶときで、ちゃんとTPO考えて公私で分けてるのがすきすぎる。

てか、こいつらぜんっっっっっぜん拗れる気配なくて最強のコンビでしかない。



※以下単行本のネタバレを含みます

まずコミュニケーションが十分なくらいに充実してるんだよな、このふたり。ロンは根本が事件を解決するのは僕〝たち〟って一貫したスタンスだし、トトは意見があれば口ごもらずグイグイいって行動あるのみ派。そしてロンはそんなトトをどんなときも邪険にしたりしない。むしろ自分にはないトトの発想は事件解決の糸口になるくらいに思ってる。ふたりの相性がすこぶるいいんだろうな、立派な相棒ですよ。

ロンわりと最初から僕には君が必要!って思ってるもん。犯人を死に追いやってしまう病のせいもあり探偵が表立ってできないのはもちろんあるんだけど、トトはロンにはないものを持っててそれは事件へのひたむきさだったり、ロンにはないロン自身へ寄せる信頼だったりする。

僕は探偵としてとても優れているけれど、トトもすごいんだ!みてみて!僕の相棒!!って自慢してるのがすごく透けてみえる。とくに記者のチコリさん初登場のコーヒーショップ回。トトのことだいすきかよ。トトのほうからあらためてロンに謎解きを任せっぱなしだからオレも⋯ってなったのがロンの自称親友エルマーが現れた夏祭りあたりだと思うんだけど、挙動が手に取るように分かりやすくて可愛いんだよな。自分より前からロンと付き合いがあって、自分より事件の捜査能力に秀でている。彼はまあトトにとって最大のライバル枠になるのかもな。まあ、勝負に拘らず解決を優先するのがトトの味なのだけれど。

たぶんロンのほうは、トトが自分の相棒に相応しいかどうかなんて考えたことないよ。エルマーを土俵にさえあげてないように見える。自分の相棒はトト以外には考えられないと最初から思ってる。あの余裕の表情は絶対そう。ロンはずっとトトとふたりコンビで難事件を解いてると思ってるよ。ロンは探偵業の禁じられてるので代わりに表立って推理を話してくれてるから傀儡だとかそういうことではなく、ふたりで捜査して話しているうちに考えがまとまったり新しい考え方ができたりして最後に解決に導くので、やっぱりロンはふたりで解いてると思ってる対等な関係であってほしい。

それがまた、一色都々丸というロンが昔のまま完璧な探偵だったなら到底出会わないような、必要としないような、関わることさえしないようなピュアでまぬけなところが取り柄の人間なのがとてもいい。一見どこにでもいそうで、でも誰にでもできることじゃない────まっすぐで純粋な、ロンにとっての特別。

M家がらみの事件でこのまま焼け死ぬかもってとき、個人的な解釈なんだけど聞いてくれる?トトが手遅れかもしれないのに、燃え盛る炎の中、ロンのところに単身で戻ってきたのは友愛⋯⋯いや博愛かもしれない。あれがロンじゃなかったとしてもトトなら戻ったと思う。だからそこを相手がロンだったからって外野に誤解されたくないと、死後にトトの純粋な気持ちを外野からとやかく邪推されたくなかったんじゃないかなって。深読みかもしれんけど。肩越しじゃなくて最期は面と向かって話したかった口実の可能性も全然ある。

あと、こういうバディものであるある展開の危険な場所、事件だから相棒になにも言わず単独で動く選択肢がほぼ存在しないロン。つよ。渋谷の黙示録の捜査の最中、奴は僕と決着を着けようとしてる!って走り出すロンに、犯人のもとにひとりで行く気か?ってトトに訊かれて、ひとりで行く気なら今君に話してない!っていう返しするの凄くない?

要するに「君に着いてきてほしい。または着いてくるだろうと思ったから今この場で話したんだ」ってことでしょ?この縁、切れなさすぎる。腐れ縁より切れないかもしれない。素材が超合金とかでできてます⋯⋯?これで出会って一年経ってないってどういうことなの??n年もn十年も経ったらどうなっちゃうんだ??純粋な疑問だよ。

事件や厄介ごとには当たり前に連れていくし着いていくし急な呼び出しにも応じる。君も当然いくだろう?みたいな会話さえカットされてるのか全然しないのよすぎる。

M家の罠丸出しの船に乗り込むときは流石に話し合いしたけど、帰ってこられないかもって前置きはしておいて、来てほしいとも来るなとも言わないロン⋯⋯。ちゃんと相棒の意思を尊重してていいね。チケットが二枚送られてきていたことも口には出さないで相棒に委ねた。まあ、トトなら意地でも乗るだろうとは思ったけれど。

あの最終決戦でのマイロとのシーン凄いよな、是非アニメで見たい。声優さんがどう演じてくれるのかが大変興味ある。アニメ二期が待ち遠しいね。

目の前でトトが死にかけて箍が外れるロンもすきだけど、それを押し止めるのもトトという存在なんだなってしみじみ感じた。ロンのブレーキを引くのもアクセルを吹かすのもトト。あのロンにはどのくらいトトの言葉が届いていたのかは分からないけど、なにも分からなくなって深い海に落ちたみたいに自分の居場所も立場も思考が段々と遠くなってきて、そこにひとつふたつと落ちてくる「お前は探偵だ」って力強い自分が圧倒的に信じられる声色────これまで信じてきた誰かの言葉。自分の定義そのもの。光を一切通さない暗い海の底から、光揺蕩う浅瀬に意識を引き戻してくれる命綱を掴んだ、あのときロンのなかにあった感情はなんだろう。信じてくれたこの声を裏切りたくない!なのか、自分は探偵なのだと思い出せた!なのか。ともあれ一線を越える直前にあの判断を下せるロンの精神は凄いよ。

他のM家がらみの事件でも、トトを危険に巻き込まないために君には関係ない話だって突き放したりするシーンがないのもすき。ロンからみたトトは守る相手じゃない。ましてや自分の弱みだなんてとんでもない。自分の足りないところを補ってくれる────背中を預けられる文字通りの相棒なんだなって理解してるうえに、自分が変わったのはトトの影響が大きいという自覚もある。彼は自分が一線を越えそう────踏み外しそうになったとき、必ずとめてくれると心から絶対的信頼を置いている。血の実習のこともあって自分のことはてんで信じられないロンだけど、自分のことを信じるトトのことは信じられるのがまたこのコンビのいいところ。シュピッツのこともそうだよね。トトが悪いやつじゃないって言ったからそれにロンも乗っかった感じがする。これしかもこの信頼関係は途中なんらかの具体的なエピソードが挟まってあらためて気がついたとかじゃなくて最初からなんだもんな。たまげる。

天文台でもそうだったけど、記憶が抜けてて自分でも自分はやってないって確証がもてない中で「お前は絶対やってない!」って論理抜きで必死に弁明してくれて自分より自分を信じてくれて、かつて孤高で孤独だったロンにとってはじめてできた友人と呼べる人間に、好感度がぶち上がらないわけがない。なので距離感は当たり前にバグってる。

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2024-06-22 14:05

 名九良


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