戻ってきたの?

 忘れ物をしてしまい、教室へ戻ると未来さんと目が合った。彼女、いつも教室に残ってるよな……
「忘れ物した?」
「あ、うん」
「お疲れ様」
 そう一言呟き、未来さんはスマホをいじり始めた。俺は窓際に寄りかかり外を見る。最近、随分と日が長くなった。
 この二人だけの空間はかなり気まずいので、俺は忘れた荷物を取るとさっさと廊下に出ようとした。
 その時、背後から声がかかる。
「……もうちょっと、いてもいいんだよ?」
「え…………」
 未来さんの頬は真っ赤に染まっていた。
 きっと、夕日のせいだ。

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2024-07-10 17:12

 青春の模型


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