あの日みたく夢中で君と遊んでみよう。恋する指が躍るよ。
さて期せずして今年2024年(H36orR6)卯月7日日曜日から放映開始されし『3』も水無月30日日曜日に全13話を以て閉幕を迎えました。所謂1年生編が2クール御座いましたが故に、てっきり3年生編も然うかと期待致しましたが夢破れて候ふ。いや実際、凡てのEPISODEを充分に描写し切るには4クール以上は必要だろうなぁ、と云うのが率直な感想にて御座いますわ。好きな作品で在れば在る程に、あの場面はもっとこうだとか、あのシーンにはこんな風に演出した方が良いだろうとか、ついつい思って仕舞いますよ。いや総合的には良かったと思いますし、寧ろ良過ぎる程の高水準とも云えましょう。然れどだからこそ逆にコンパクトに纏める事は惜しむ可きで在り、冷めやらぬ夢に微睡みたいものよ。どうにも愛深き故に戸惑うばかりですなぁ。まあ矢張り学園ドラマに於いて嘗ての生徒が教師として舞い戻って来る展開は定番にして王道。其の事自体は構わない、と云うより大いに結構。音楽家としての道を目指さなかった黄前ちゃんが其れでも猶、音楽との関わり合いを続けて往くには最適な道かと存じます。物語は新たな部員達と共に更に繋がって往くのです。実に素晴らしい。先述の如く、其の事自体は大いに結構。唯、思うのは最終話のサブタイトルが『つながるメロディ』である事です。是のサブタイトルが最も端的に表現されているシーンが前半に在るのです。惜しむらくは其の場面が尺の都合でしょうけれども割とあっさりと流されて居る件です。若しもあのシーンが、もっと時間を掛けて丹念に描写されていたなら、作中の最大の見せ場と成って居たやも知れませぬわ。まあ飽く迄も素朴な感想に過ぎませぬがね。或いは最早、作品の出来がどーこーと云うレベルでは無く、哀しい位に予算に限定された御話なのだろう。潤沢な予算が回って来るならば、半年以上の放送期間を見据えた番組制作にも何ら差し障りとて御座るまいて喃。処が現実的には文庫本にして2冊分の物語は1クールで制作される訳です。此の様な状況では充分に描き切れぬEPISODEが出て来るのも必然的と云えましょう。斯かる珠玉の作品を余す事なく映像化するには矢張り昭和時代の如くに4クールを前提にした番組作りを心掛ける事が肝要でしょうね。然れど其れが成されぬ御時世です。即ち其れだけ社会状況が悪化していると云う何よりの証しです。さて話に由れば、音響監督を務められし鶴岡陽太氏は2023年(S98orH35orR5)8月4日金曜日に公開されし『アンサンブルコンテスト』編が制作されるに先立って斯く述べられたとの事です。即ち「商業の作品作りで、こんな風に2.5期的な話を、しっかり作れる機会は滅多に無いので、此の恩恵を充分に享受して皆で一杯、試行錯誤して[久美子3年生編]に向かおう」との事です。此の談話のポイントは「恩恵を充分に享受して」と云う点でしょうね。はて御存知の通り、是の『ユーフォニアム』と云うシリーズ作品は言わずと知れたヒット作です。新作を制作すれば、ほぼ確実に「当たる」事が見込める超優良作品である件に疑問の余地も有りません。抑々ヒット作に非ずんば続編や新作は企画される事すら無かろう。然うです。ヒットしたからこそ、映画化の話も舞い込むと云うものですよ。だが、にも拘らず、是の『ユーフォニアム』程のヒット作を以てしても、新たに続編を制作するチャンスは「滅多に無い」とされたのである。シリーズが続きし要因は、明らかにスタッフやキャスト各位が自らの優れた才覚を遺憾なく発揮して掴み取った成果であるにも拘らずに、ファンたる視聴者達の想いすらスルーされ、放送局やら製作委員会やらの所謂上部組織の意向ばかりが優先されているのが現状だと云う次第ですよ。此の状況は結局の処、アニメ業界全般の制作環境が悪化して居ると云う証左であろうよ。いやアニメ界のみならず、あらゆる制作や製造の現場環境が全く改善されていないと云う現実を如実に指し示して居るのです。残念乍ら見せ掛けの株高やら表層的な賃上げやらで誤魔化されがちですがね。どうやら虚偽に包み込まれし浮世では、上辺を尤もらしく飾り立てるのに御多忙らしいですな。真に「本物」は失われて久しい。そして何より無念なのは現行の姑息な体制が継続している限り、人々から「本物」は遠ざかるばかりと云う件です。ふと振り返らばOVAの黄金時代と呼べる頃が御座いましたわ。無論、其の名の通りに完全オリジナル作品が在る一方で人気番組の続編や番外編等も多く制作されました。此れは言う迄も無く、全くの新規の企画で勝負するよりは、既に知名度も充分な既存の人気作の続編等の方が、固定客等からの売り上げが見込める為です。そして目算通りにヒット作の続編もヒットし、更なる続編が企画されたりもしました。そりゃあ売れたらシリーズ化したりするのは当然ですよ。ビジネスの定石です。其の事自体には何ら問題も有りません。ならば注目す可きポイントは何処でしょう。いえいえ然程に難解な問題でも有りませんよ。とてもSIMPLEな御話です。まあ考えても御覧為さいよ。作品が売れたと云う事は視聴者が買えたと云う事ですよ。まあレンタル等も御座いましたが特典等を入手する為には原則的に購入する訳です。制作サイドも販売が好調なら気を良くして特典を豪華にしたりします。するとファン心理を刺激された視聴者はついつい購入しちゃいます。其の繰り返しこそが好循環と呼べるものですが、ポイントと成るのは何故、其れが可能だったか、と云う事です。先述の如く、難解な御話に非ず。いや、と云うより、既に歴史が証明済みの解答ですよ。現実を有りの儘に視れば誰にでも認識可能な筈ですが、どうにもお利口さん達は無駄に小難しく考えたがる様で、却って真実から遠ざかって仕舞いがちです。其の積み重ねが現状の悪化を招いたのです。でもね、昔は「今は失われた自由」と呼べるものが有った。然う一般庶民には自由に使える金銭が有ったのです。所謂、可処分所得ですね。好きに使える金銭にゆとりが有るからこそ、高価なOVAも購入出来ると云うものですよ。当たり前ですがね。でも其の当たり前が認識不可能なお利口さん達も少なく無いのですよ。いやOVA全盛期が旧バブル経済の時代と無縁では無い件は歴史的事実です。あの頃は其れこそ下々の民草迄も金回りが良かった件は明らかです。時代を表すKEYWORDに「金余り」なんてのも有ります。ならば商売も捗ると云うものです。制作資金が豊富で有らばこそ、企業は次々と新作を世に送り出し、懐の温まったファンは其れを買える。万々歳です。将に好循環です。民間人が潤ってこその経世済民、即ち経済です。其の事自体には問題は有りません。問題は体制側が民衆から金銭を権力と云う力を行使して力ずくで強奪して居る件です。お利口さん達は財政破綻論を振り翳して搾取を正当化して居ますが毎年、使い切れない予算と云う物が発生して居ます。此れも「金余り」ですが民間人には「1μも」メリットは有りません。更には膨れ上がり、ダブついている基金の類いも「金余り」を象徴しています。其れでいて民間企業や民間人は手元不如意。国民負担率は跳ね上がるばかりです。こんな有り様では番組制作に「恩恵」も必要だろう。さてあれから5年と為りましょう哉。
1
9
99
2024-07-20 23:23
Comments (0)
No comments