【ソバスピ】雨女の乾いた日常
自キャラ
アリエスillust/121337753
の自己紹介的なエピソードになります。
普段はこんな感じで各地へお水を配り、副業で
飲み物の販売もしております。
※
「おいコラ!いつまで寝てんだテメェ!
なんぼなんでも危機感なさすぎンだろオラ!」
「えぇ〜〜〜?アニキぃ、マジで起こすんですかぁ?
寝てる間にズコバコー!ってやっちゃいましょうよォ。
童貞卒業に対して夢見過ぎですって」
「うるせーーーっ!!オレ様はなぁ、
嫌がる女をキス1発で惚れさせて、
嫌なはずなのに感じちゃう〜〜〜!って
感じでなぁ、メロメロにしちまうのが夢なんだよ!!」
流石に、ちょっと周りがうるさすぎる。
「うぇぇ・・・ふつうにきもちわるいですね」
いかなアリエス・シープロックといえども、
この状況では目を覚さないわけにはいかない。
「ほらぁ〜〜〜!起きちゃったじゃないスかぁ!」
・・・輸送中の居眠りから目覚めてみれば、
周りにはいかにも駆け出しらしき貧相な野盗が三人。
「へっへっへ・・・なぁに、好都合だぜェ。
おい女ァ!これからオレ様が天国に連れて行ってやるからよォ〜!
足ぃ開けやァ・・・んっ、おい!固ェ・・・おい、開けって!!」
リーダーらしき赤いモヒカン頭がアリエスの膝頭に手をかけて
なんか頑張っているが、ウンともスンとも動かない。
背後に控える子分の手前、意地を張って粘っているが顔はもう真っ赤。
「あのぉ・・・お水をはこんでるんで、もういきますね」
お客さんではないことは確かなので、
いちいち相手にしなくてもいいだろう。
「は?お前状況わか・・・ウボァ!?!?」
アリエスが無造作に払い除けた手で
赤モヒカン氏が吹き飛ばされて、背後の岩棚に激突。
乾いた赤褐色の岩塊に人型の穴が穿たれる。
目を剥いてその有様を凝視する子分2人を尻目に、
アリエスは何事もなかったかのように幌駄車を
発進させ、見る間に遠ざかっていく。
「待てコラァ!アニキになんの手品を使いやがったァ!!」
「そうだそうだ!オッパイ揉ませろーーー!!」
大急ぎでバイクに跨り追いかける子分2人。
水を満載した幌駄車が相手なら、追いつくのは簡単だ。
「オッパイはひばいひんですねぇ。
お水ならありますよ、コップいっぱい3000シム」
「払うかボケ!!全部まるっとタダでいただくってンだよォ!」
テンションの噛み合わないやり取りに業を煮やした野盗達が
手にした武器を振りかざす。
パイプにせよ、バールにせよ、粗雑な代物だが
商売道具に傷をつけられるにはさすがにうまくない。
「う〜ん。しかたないなぁ・・・」
ヒャッハハハァッ!などと喚声を上げる盗人達を
めんどくさそうに横目に睨み、
「ちょっとしつれい」
アリエスはその背に背負っていた得物を振るう。
轟音。
弾け飛ぶバイク、宙を舞う野盗A。
まるで竜のつま先に蹴飛ばされたかのように、
砕け散った部品が後方に飛散し、そのど真ん中に
落ちてきた野盗Aが頭から砂丘に突き刺さる。
「なっ・・・またワケのわからねぇ魔法を・・・!!」
「いや、わたしはなにも・・・」
とにかく、近づくのはまずい。野盗Bはそう判断して
距離を取り、肩から掛けていたショットガンを構える。
・・・それは、とてもこまる。
そんな距離から撃たれても別に痛くはないが、
逆にいえば広く散らばった弾が駄車に積んだタンクに
穴を開ければ、せっかくの貴重な水が台無しになる。
・・・気は進まないが、コレしかない。
アリエスが、片手で振るっていた得物───
水圧砲を両腕で構え直し、躊躇わず引き金を引く。
同時に、ハンドルを握る腕に力を込め、
肩に当てたレバーに圧をかけ、放水の威力を高める。
咄嗟に引き金を引いた野盗Bだったが、
放たれた弾丸が標的に届くことはなかった。
放射された水が壁となって弾道を阻み、その
脅威的な水圧で弾丸を無力化してしまったのだ。
・・・のみならず。
「お・・・!?おぼぼぼぼぼぼブブブブブブッッッ!?!?」
濁流は、まずタイヤをバーストさせ、フォークを捻じ曲げて
バイクのコントロールを奪い、エンジンをフレームから
引きちぎったのち、野盗Bの胴体を直撃。
20メートルにわたって吹き飛ばして、
サボテンの群生地に叩き落とした。
そして、アリエスは今度こそ本物の魔法を使っていた。
放水に込めたエンチャントは『凍結』。
サボテンの間に吹き飛ばされた野盗Bはものの見事に
氷漬けになっている。仮死状態だが、
この灼熱の太陽の下ではほんの数時間で氷も溶けてしまうだろう。
タダでこんなにたくさん氷をサービスしてあげたのだから、
少々の乱暴は勘弁してもらいたい。
「はぁ・・・またやっちゃった」
言うまでもなく。依頼者から預かった大事な輸送物資である。
アリエスの得手とする流体付与魔術を活かすには
この武器が最適なのは確かなのだが・・・
いかんせん、銭を擲つようなもので費用対効果が大変厳しい。
治安のちの字もありゃしないここリトルアイランドで、
最重要物資たる水を運ぶ駄車に野盗が目をつけぬわけもなく。
アリエスは毎度のように貴重な資源を浪費してしまっていた。
それでも、良心的な輸送費で確実に配送してくれる
優良業者としてそこそこの評価は得ているのだが・・・
同時に、消費した水の賠償で家計が火の車なのも事実。
「う〜〜〜ん。やっぱり、ようじんぼうくらい
やとったほうがいいのかもしれませんねぇ」
何度目になるかわからぬつぶやきを残し、
アリエスの幌駄車は荒野をゆく。
今度、ギフに戻ったら自警団に相談してみよう。
アリエスはそう決めて、再びうつらうつらと微睡に落ちていった。
アリエスillust/121337753
の自己紹介的なエピソードになります。
普段はこんな感じで各地へお水を配り、副業で
飲み物の販売もしております。
※
「おいコラ!いつまで寝てんだテメェ!
なんぼなんでも危機感なさすぎンだろオラ!」
「えぇ〜〜〜?アニキぃ、マジで起こすんですかぁ?
寝てる間にズコバコー!ってやっちゃいましょうよォ。
童貞卒業に対して夢見過ぎですって」
「うるせーーーっ!!オレ様はなぁ、
嫌がる女をキス1発で惚れさせて、
嫌なはずなのに感じちゃう〜〜〜!って
感じでなぁ、メロメロにしちまうのが夢なんだよ!!」
流石に、ちょっと周りがうるさすぎる。
「うぇぇ・・・ふつうにきもちわるいですね」
いかなアリエス・シープロックといえども、
この状況では目を覚さないわけにはいかない。
「ほらぁ〜〜〜!起きちゃったじゃないスかぁ!」
・・・輸送中の居眠りから目覚めてみれば、
周りにはいかにも駆け出しらしき貧相な野盗が三人。
「へっへっへ・・・なぁに、好都合だぜェ。
おい女ァ!これからオレ様が天国に連れて行ってやるからよォ〜!
足ぃ開けやァ・・・んっ、おい!固ェ・・・おい、開けって!!」
リーダーらしき赤いモヒカン頭がアリエスの膝頭に手をかけて
なんか頑張っているが、ウンともスンとも動かない。
背後に控える子分の手前、意地を張って粘っているが顔はもう真っ赤。
「あのぉ・・・お水をはこんでるんで、もういきますね」
お客さんではないことは確かなので、
いちいち相手にしなくてもいいだろう。
「は?お前状況わか・・・ウボァ!?!?」
アリエスが無造作に払い除けた手で
赤モヒカン氏が吹き飛ばされて、背後の岩棚に激突。
乾いた赤褐色の岩塊に人型の穴が穿たれる。
目を剥いてその有様を凝視する子分2人を尻目に、
アリエスは何事もなかったかのように幌駄車を
発進させ、見る間に遠ざかっていく。
「待てコラァ!アニキになんの手品を使いやがったァ!!」
「そうだそうだ!オッパイ揉ませろーーー!!」
大急ぎでバイクに跨り追いかける子分2人。
水を満載した幌駄車が相手なら、追いつくのは簡単だ。
「オッパイはひばいひんですねぇ。
お水ならありますよ、コップいっぱい3000シム」
「払うかボケ!!全部まるっとタダでいただくってンだよォ!」
テンションの噛み合わないやり取りに業を煮やした野盗達が
手にした武器を振りかざす。
パイプにせよ、バールにせよ、粗雑な代物だが
商売道具に傷をつけられるにはさすがにうまくない。
「う〜ん。しかたないなぁ・・・」
ヒャッハハハァッ!などと喚声を上げる盗人達を
めんどくさそうに横目に睨み、
「ちょっとしつれい」
アリエスはその背に背負っていた得物を振るう。
轟音。
弾け飛ぶバイク、宙を舞う野盗A。
まるで竜のつま先に蹴飛ばされたかのように、
砕け散った部品が後方に飛散し、そのど真ん中に
落ちてきた野盗Aが頭から砂丘に突き刺さる。
「なっ・・・またワケのわからねぇ魔法を・・・!!」
「いや、わたしはなにも・・・」
とにかく、近づくのはまずい。野盗Bはそう判断して
距離を取り、肩から掛けていたショットガンを構える。
・・・それは、とてもこまる。
そんな距離から撃たれても別に痛くはないが、
逆にいえば広く散らばった弾が駄車に積んだタンクに
穴を開ければ、せっかくの貴重な水が台無しになる。
・・・気は進まないが、コレしかない。
アリエスが、片手で振るっていた得物───
水圧砲を両腕で構え直し、躊躇わず引き金を引く。
同時に、ハンドルを握る腕に力を込め、
肩に当てたレバーに圧をかけ、放水の威力を高める。
咄嗟に引き金を引いた野盗Bだったが、
放たれた弾丸が標的に届くことはなかった。
放射された水が壁となって弾道を阻み、その
脅威的な水圧で弾丸を無力化してしまったのだ。
・・・のみならず。
「お・・・!?おぼぼぼぼぼぼブブブブブブッッッ!?!?」
濁流は、まずタイヤをバーストさせ、フォークを捻じ曲げて
バイクのコントロールを奪い、エンジンをフレームから
引きちぎったのち、野盗Bの胴体を直撃。
20メートルにわたって吹き飛ばして、
サボテンの群生地に叩き落とした。
そして、アリエスは今度こそ本物の魔法を使っていた。
放水に込めたエンチャントは『凍結』。
サボテンの間に吹き飛ばされた野盗Bはものの見事に
氷漬けになっている。仮死状態だが、
この灼熱の太陽の下ではほんの数時間で氷も溶けてしまうだろう。
タダでこんなにたくさん氷をサービスしてあげたのだから、
少々の乱暴は勘弁してもらいたい。
「はぁ・・・またやっちゃった」
言うまでもなく。依頼者から預かった大事な輸送物資である。
アリエスの得手とする流体付与魔術を活かすには
この武器が最適なのは確かなのだが・・・
いかんせん、銭を擲つようなもので費用対効果が大変厳しい。
治安のちの字もありゃしないここリトルアイランドで、
最重要物資たる水を運ぶ駄車に野盗が目をつけぬわけもなく。
アリエスは毎度のように貴重な資源を浪費してしまっていた。
それでも、良心的な輸送費で確実に配送してくれる
優良業者としてそこそこの評価は得ているのだが・・・
同時に、消費した水の賠償で家計が火の車なのも事実。
「う〜〜〜ん。やっぱり、ようじんぼうくらい
やとったほうがいいのかもしれませんねぇ」
何度目になるかわからぬつぶやきを残し、
アリエスの幌駄車は荒野をゆく。
今度、ギフに戻ったら自警団に相談してみよう。
アリエスはそう決めて、再びうつらうつらと微睡に落ちていった。
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2024-08-11 16:07
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