星空ブッキー！

深海棲艦艦隊への反攻作戦が立案されてからというもの、
連日遅くまで打ち合わせや会議が続き、少し疲れも出てきたみたいだ。
吹雪と一緒に司令部を出て、今日は久しぶりに二人で買った家へ帰れるのだが、
さすがにこの坂道は疲れた身体には堪える。

「ほおら！もう少しで我が家なんだから、もう少し頑張って下さい」

吹雪はいつの間にか私の数メートル先を歩いている。
久しぶりに我が家へ帰れるとあって、足取りも軽い。
「お前が速すぎるんだ」
息が上がる私を見かねたのか、私の左腕を引っ張って坂道を登り始めた。
「もう、しょうが無いなあ。学生時代はエースピッチャーだったんでしょ？」
「そんな昔の事は忘れた」
吹雪は映画のセリフそのままに応える私が余程おかしかったのか、子供の様な顔で笑っている。
その笑顔を見ていると疲れが和らいでくるから不思議なものだ。

「今日もすっかり遅くなっちゃいましたね」
吹雪が私の顔をのぞき込んで悪戯っぽく笑う。
「ホントだな、１週間は帰ってないな」
「いいえ、１０日です。大丈夫なの？」
結婚してからというもの、端々に子供扱いしてる様な気がする。
「はいはい、お姫様の言う通り！」
「また、適当な事言う！」
さっきまで笑ってたかと思えば、眉間にシワ寄せて怒った様な顔を見せる。
本当に愛おしい存在だ。

「まあ、星がきれい！」
吹雪が空を見上げて、思わず感嘆する。
確かに今日は満天の星が美しく輝いている。
私は吹雪の肩を抱き寄せ、しばしの間この素晴らしい夜空を仰ぎ見ていた。
「提督、もう少しこのままでいさせて下さいね…」
吹雪が甘えた声でささやいた。
このまま時が止まればいい、そう思える夜だった。

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という事で、以前投稿した「半ドンブッキー」のリメイクです。
晴れて提督のお嫁さんになったブッキーですが、それまでの
お話とこれからのお話を少しずつですが、執筆してます。
もう少しまとまれば、pixivで公開させて頂きます。