見えちゃうお友達

 「どうしたの?、何かあったの?」
 泣いている歌波ちゃんに、お友達の熊さんたちが心配そうに尋ねてきました。
 「熊さんたちのことを話すとお父さんも、お母さんも笑って信じてくれないの、イマジナリーフレンドでしょとか…」
 「お父さんもお母さんも僕たちが友達だったこと忘れちゃったのさ」
 「えー、熊さん達は、お父さんやお母さんと友達だったの?」
 「そうさ、仲良しだったんだよ。お母さんが歌波ちゃんくらいの時、歌波ちゃんのお祖母さんのお皿割って大泣きしてた時慰めてあげたことなんてあるんだよ」
 「ほんとにそうなんだ」
 歌波ちゃんは、泣き止みました。
 「みんな友達だつたけど、大きくなるにしたがってだんだん忘れてきて最後は全然思い出すこともなくなるのさ」
 「それなら歌波は大人にならない!」
 「いいんだよ。そういうのが僕たちなんだから」
 熊さん達は歌波ちゃんににっこり微笑んでくれました。
 それから20年~。
 歌波さんは、ブラック企業勤務で残業が多くて、いつも遅くにアパートに帰宅します。
 ドアを開けると、
 「お帰りなさい」
と熊さん達が迎えてくれました。
 歌波さんは、思いました。 
 (この子達いつまでいるのかしら?)
おしまい

 

 

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2024-08-20 08:16

 三夜月朔


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