【PFSOZ】或いは、芽吹きのようでもあり
◆
まだ凍える路地が革靴で高い音を返して来るが、日差しに春の兆しを思わせる。そんな初春のある日。
アルテナは、僅かに緊張を感じる心から努めて目をそらしていた。
その日、彼から『家に来て、聞いて欲しい話がある』と言われてこの場にいる。
彼、即ちアルテナの数歩前を進む、イスリアド王家に仕えた貴族家の一つ。青天十三杖の五席 ウィリス伯爵家の長男ベルナール。
燈桜祭で縁があって以来、何かと縁の続いている人だ。
懇意にさせてもらっているが正しい。
いや、懇意だと思いたい、と言うべきか。
仕事ともプライベートともつかない。敢えて曖昧にしたまま、何度も二人で時間を過ごした。
女性除けの護衛。
それから始まった縁だから、燈桜祭の後も親しくしてくれるのは、醜聞の為の配慮かと思った。
けれど秋は過ぎ、冬も峠を越え、もう春が近い。
記憶が折り重なっていく毎に、彼から向けられるものが、どちらの立場でのものなのか分からなくなる時が増える。
言われないまま、私もまた『それ』を聞けずにいた。
(もしかしたら――答えを聞く日になるのかもしれない)
手ずから伯爵邸の扉に手をかけて招くベルナールに誘われ、アルテナは扉をくぐるのだった。
◇
こちら[illust/118247790]へのお返事
お待たせいたしましたーーー!!
いつもいつもありがとうございます!! これからもどうぞよろしく。
ベルナールさん[illust/102254330]
うちのアルテナ[illust/103920163]
■
こちらは
pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】を元にした作品です。
まだ凍える路地が革靴で高い音を返して来るが、日差しに春の兆しを思わせる。そんな初春のある日。
アルテナは、僅かに緊張を感じる心から努めて目をそらしていた。
その日、彼から『家に来て、聞いて欲しい話がある』と言われてこの場にいる。
彼、即ちアルテナの数歩前を進む、イスリアド王家に仕えた貴族家の一つ。青天十三杖の五席 ウィリス伯爵家の長男ベルナール。
燈桜祭で縁があって以来、何かと縁の続いている人だ。
懇意にさせてもらっているが正しい。
いや、懇意だと思いたい、と言うべきか。
仕事ともプライベートともつかない。敢えて曖昧にしたまま、何度も二人で時間を過ごした。
女性除けの護衛。
それから始まった縁だから、燈桜祭の後も親しくしてくれるのは、醜聞の為の配慮かと思った。
けれど秋は過ぎ、冬も峠を越え、もう春が近い。
記憶が折り重なっていく毎に、彼から向けられるものが、どちらの立場でのものなのか分からなくなる時が増える。
言われないまま、私もまた『それ』を聞けずにいた。
(もしかしたら――答えを聞く日になるのかもしれない)
手ずから伯爵邸の扉に手をかけて招くベルナールに誘われ、アルテナは扉をくぐるのだった。
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こちら[illust/118247790]へのお返事
お待たせいたしましたーーー!!
いつもいつもありがとうございます!! これからもどうぞよろしく。
ベルナールさん[illust/102254330]
うちのアルテナ[illust/103920163]
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こちらは
pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】を元にした作品です。
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2024-09-12 22:41
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