序章第一幕 魔封の術者と忘金の丘
どこだ、ここ。
……体が動かない。
腕はある、足も……ある。
だけどまるで動けない。
ギリギリ指先は動くけれど、それだけだ。
何故俺はここに?
そもそもここは何処だ?
思い出せ、思い出せ俺。
『このままじゃ二人共死ぬ! お前が生きてりゃまだ何とかなるんだからさっさと逃げろ!』
『嫌! 絶対に見捨てない、アタシだけはアンタを見捨てたりなんかしない!』
『俺はもうダメだ。呪いが完全に回ってるし、……一番強い抵抗力の俺でもここまで呪われるんだ、お前じゃ戦う以前に』
『そんな事知らない! 助けるったら助けるの!』
『やめろ、そんな事したらお前は……お前が!』
どこかの空で、俺は傷ついていた。
そこに青色の少女がやってきて、俺を青色の殻のような物で包んで……それから……。
ダメだ、その先を何も覚えてない。
それどころかその前も覚えてない。
「えーっと、その、生きてますか〜?」
誰だコイツ。
枝で俺の頬をつつくんじゃない。
「……ぁ……め……ろ」
声もまともに出ないのかよ。
せめて声さえ出せれば。
「ぴぎゃぁ! ミイラみたいな声がしたんだけど!? どこ、どこかにミイラ型の異形が」
「おれ……だよ……」
体の奥にある大きな泉。
大半が真っ黒に染まっているが、少しだけ澄んだ色の場所がある。
その場所の水をすくい上げるイメージで声を出すと、少しだけだが声になっている音が出た。
「あわわ……あなたでしたか!」
何故こんな事が分かったのかも分からない。
この泉は何なんだ、まったく知らないぞ。
「とりあえず、つつくの止めてくれねぇかな」
「ご、ごめんなさい!」
艶があって綺麗な金色の髪。
少し長めの髪を風が揺らし、彼女の顔を露わにした。
……どこかで会ったか?
不思議な感じが彼女からする。
「えっと、その、立てますか?」
「ちょっと無理かも……なぁ、ここは何処なんだ?」
彼女は俺の隣に座わり、周囲を見回した。
「ここは忘金の丘ですけど、えーっと、貴方は何故こんな所で倒れてたんですか?」
倒れていた?
俺が、ここに?
「俺は倒れてたのか?」
「はい。たまたま私が通りかかったので……でも襲われる前に見つけられてよかったです! このあたりは異形が出没しますから」
「異形? 何だそれ」
「大陸の外側を囲う海の外からやってくる者の事です。もう何百年も昔から人類の宿敵なんですけど……知りませんか?」
そんな知ってて当たり前なのに何で知らないの?
みたいな顔をしないでくれ。
「……記憶が無いんだ。ここで倒れてた理由も、どこの出身かもな」
「あわわ……それは大変です! えっと、名前は……」
俺の名前。
名前は……。
「ラエルだ、多分、ラエルって名前だったと思う」
「ら、ラエル……ですか?」
頭の中に浮かんだのが、ラエルって名前だった。
もしかしたら他人の名前かもしれないが、名前が無いよりずっといい。
「手、貸してくれるか」
「はい! せーの!」
彼女に手を借りてなんとか立ち上がった。
全身が痛い、関節からは久しぶりに動いたような違和感と痛みが出てるし、頭もまだぼんやりとしている。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど……あんまり動きたくない、てか動けないな」
「だけどここは危険ですから……そうだ、私の家に来て下さいよ!」
「悪いな、だけど助けてくれ」
「はい! 喜んで!」
……体が動かない。
腕はある、足も……ある。
だけどまるで動けない。
ギリギリ指先は動くけれど、それだけだ。
何故俺はここに?
そもそもここは何処だ?
思い出せ、思い出せ俺。
『このままじゃ二人共死ぬ! お前が生きてりゃまだ何とかなるんだからさっさと逃げろ!』
『嫌! 絶対に見捨てない、アタシだけはアンタを見捨てたりなんかしない!』
『俺はもうダメだ。呪いが完全に回ってるし、……一番強い抵抗力の俺でもここまで呪われるんだ、お前じゃ戦う以前に』
『そんな事知らない! 助けるったら助けるの!』
『やめろ、そんな事したらお前は……お前が!』
どこかの空で、俺は傷ついていた。
そこに青色の少女がやってきて、俺を青色の殻のような物で包んで……それから……。
ダメだ、その先を何も覚えてない。
それどころかその前も覚えてない。
「えーっと、その、生きてますか〜?」
誰だコイツ。
枝で俺の頬をつつくんじゃない。
「……ぁ……め……ろ」
声もまともに出ないのかよ。
せめて声さえ出せれば。
「ぴぎゃぁ! ミイラみたいな声がしたんだけど!? どこ、どこかにミイラ型の異形が」
「おれ……だよ……」
体の奥にある大きな泉。
大半が真っ黒に染まっているが、少しだけ澄んだ色の場所がある。
その場所の水をすくい上げるイメージで声を出すと、少しだけだが声になっている音が出た。
「あわわ……あなたでしたか!」
何故こんな事が分かったのかも分からない。
この泉は何なんだ、まったく知らないぞ。
「とりあえず、つつくの止めてくれねぇかな」
「ご、ごめんなさい!」
艶があって綺麗な金色の髪。
少し長めの髪を風が揺らし、彼女の顔を露わにした。
……どこかで会ったか?
不思議な感じが彼女からする。
「えっと、その、立てますか?」
「ちょっと無理かも……なぁ、ここは何処なんだ?」
彼女は俺の隣に座わり、周囲を見回した。
「ここは忘金の丘ですけど、えーっと、貴方は何故こんな所で倒れてたんですか?」
倒れていた?
俺が、ここに?
「俺は倒れてたのか?」
「はい。たまたま私が通りかかったので……でも襲われる前に見つけられてよかったです! このあたりは異形が出没しますから」
「異形? 何だそれ」
「大陸の外側を囲う海の外からやってくる者の事です。もう何百年も昔から人類の宿敵なんですけど……知りませんか?」
そんな知ってて当たり前なのに何で知らないの?
みたいな顔をしないでくれ。
「……記憶が無いんだ。ここで倒れてた理由も、どこの出身かもな」
「あわわ……それは大変です! えっと、名前は……」
俺の名前。
名前は……。
「ラエルだ、多分、ラエルって名前だったと思う」
「ら、ラエル……ですか?」
頭の中に浮かんだのが、ラエルって名前だった。
もしかしたら他人の名前かもしれないが、名前が無いよりずっといい。
「手、貸してくれるか」
「はい! せーの!」
彼女に手を借りてなんとか立ち上がった。
全身が痛い、関節からは久しぶりに動いたような違和感と痛みが出てるし、頭もまだぼんやりとしている。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど……あんまり動きたくない、てか動けないな」
「だけどここは危険ですから……そうだ、私の家に来て下さいよ!」
「悪いな、だけど助けてくれ」
「はい! 喜んで!」
AI-generated
オリジナル
original
創作
creation
AIイラスト
aI-generated illustration
イラスト
illustration
金髪
blonde
illustration
背景
background
2
6
107
2024-09-29 16:23
Comments (0)
No comments