「ポン」

「錬金術でセイタカノビノビソウをつくるんだ!」
タツヤはそう言って10年も『研究』をしている。

「すごいね、がんばってね」

……アンタにできるわけないじゃん。
世界中のエライ先生たちが失敗し続けてるのに。
あきらめなよ、そんな夢。
溢れそうな毒を飲み込んで背を向けた時、
背後で「ポン」と音がした。

「やった!やったぁ!」
うれしそうなタツヤの声。振り返った私の前で
ぐんぐん天へと伸びる、セイタカノビノビソウ。

もし…、
あきらめさえしなければ。
私の夢も叶ったのだろうか。

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2024-11-07 20:38

 新島ハルコ


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