【不測のプロセス】

『無質量場フラックス包括的ヒルベルト空間と私がクランプしてきたCYベースとアインシュタインローゼンブリッジマニフォールドによって制御されたオービフォールドプラズマ位相体の大気圧放出による点状急速加速膨張現象がどのような挙動を示すか、お前ら無知無能共にも解るように叩き込んでやるよ!要約すると……タンパク質の炭化に注意しな!』
-- 神谷 'メカ代' 千代(かみや ちよ)

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誰かが言った。各々の人々が高度に専門化され、それらが集まることこそが、善である。と。

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彼女は、物理、化学、計算機、果ては量子力学の一部までを網羅する「科学の申し子」だった。
彼女は仲間の戦力を最大化させるために、試験兵器の開発とテストに時間を費やし、そしてそれは他の誰よりも長けていた。
そして「兵士たち」にその武器を渡し、ランチェスターの法則に則り、物事を優位に進めてきた。

しかし悲報が入る。兵士たちがその兵器を持ってしても、相手に勝つことは出来なかったらしい。
そして不幸なことに、その兵士たちは捕虜となって、敵陣の中に連れられたたしい。
さらに最悪なことに、敵は「マローダーズ・オブ・マルノウチ」。筋金入りの悪党で、捕虜に対する倫理というものは当然無い。

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大雨が降っている。

彼女は、ワークショップの奥にある 「理論上最も強力な試験兵器」 を取り出し、敵陣へ単体で乗り込むことを余儀なくされる。
電源を入れ、ブート。実行権限を取得し、安全モードを解除。
プラズマ加速器の熱を確認、即興の診断ファームウェアの結果は異常なし。

彼女はその 32kg はあるであろう、巨大な兵器を持ちあげる。
彼女は戦うことは専門ではないので、持ち上げることがやっとだが、少なくとも狙うことは出来るようだ。
骨と腰に気を遣いながら、彼女はゆっくりと敵陣へ向かうことにした。

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さあランチェスターの法則がどのように作用するか刮目せよ。

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2024-12-03 22:16

 yukke3053


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