ちくま文庫　つげ義春コレクション３より　模写

「山椒魚」
「通夜」
「峠の犬」

　みなさま、メリー・クリスマス。
　さて、「沼」「チーコ」の不評から一年間休筆したつげ先生は、その間、水木しげるセンセイのアシスタントをして暮らしていました。この時期が大きかったんですよね。水木センセイの画法、単純な人物と細密な背景の手法を身に着けました。水木センセイの細密な背景は、つげ先生、池上遼一などの大家が担当されていたんです。すごいですね。これ、漫勉neo の水木しげるセンセイの回で詳しくやっていました。これ、神回ですよ。水木先生は、背景のかき方をアシスタントにきっちり指導されていたのでした。ベタとハッチング、白抜きの描写は、ホントすごいです。実はぼくがこうやってつげ先生の模写に取り組んでいるのも、水木センセイの流れをくむこの背景のかき方を勉強したかったからなんです。
　ちなみにそのやり方ですが、水木センセイ、自分で撮った白黒写真をアシスタントにポンと渡して「これ、描くんですわ」とおっしゃったそうです。笑　ただですね、ぼくはつげ先生の背景の方が、水木プロの背景より好きです。そこに作家性があるからなんです。水木プロの背景はちょっと固いかな。しかしながら、水木センセイがアシスタントを導入する前の背景は凄いです。これはもう、芸術。つげ先生も足元にも及ばないほどの凄さです。貸本時代の水木先生の背景をぜひご覧ください。

　今日ご紹介する「峠の犬」と「通夜」は、ちょっと民話風の時代劇。「山椒魚」は井伏鱒二の小説のオマージュで、あの物語を不気味な現代ものにアレンジした作品です。