新春!トレセン寮対抗ファッションショーに選ばれたネイチャさん
その日、ナイスネイチャは友人たちに誘われてあれを着ろこれを着ろと、コスプレ紛いの遊びに興じていた。
普段は着られないような派手な色、自分のキャラに合わないガーリーなスタイルも、この時だけなら楽しめるのだ。
「わぁっ!お似合いです!流石は今年のニンフですねっ!」
「はっ???????」
ネイチャは耳を疑った。視界がブレ、動悸がして、嫌な汗が滲み出て来る。
ニンフとは、1月初旬に行われる学園半公認の寮対抗のファッションショーに出る、5人の代表につけられた名前だ。
それぞれのニンフに生徒たちが投票するシステムで、より多くの表を集めた寮が勝つというイベントで、負けた寮は勝った寮の為にショーとその後のダンスパーティーの片づけをしなければならない。
「ネイチャさんと一緒なら、ライス頑張れるよ」
「いやぁ、推した甲斐がありましたなぁ。私まで選ばれるとは、予想外でしたが……。不肖アグネスデジタル、コスプレならお役に立てますゾォ~」
などと、他に選ばれたと思わしき友人たちは申しており。って、ライスさん美浦寮ぢゃん!!
「まさか、そんな馬鹿な……アタシみたいな普通のウマ娘が選ばれるはずが……」
「いえっ!!これは勝つための戦略なんですっ!!」
と、ずずいっと無駄に顔面の良い財閥令嬢が迫ってくる。
「このイベントは生徒たちの投票で決まります。ファッションショーとはいえ、結局は人気がものを言うんですっ。その点ネイチャさんは面倒見の良い事で知られてますし、実際にお世話になった事がある生徒も多数。更にはキタちゃんを陰に日向に支え、G1を7勝させた立役者……ついたあだ名がネイチャ先生!そして、普段は地味めの服を選ぶからこそ、もし着飾ったらギャップ萌えを狙えます!これは、勝てます!勝てますよネイチャさん!」
「いや!アタシ普通だから!いつも勝ちきれないから!迷惑かけるから!」
「普通?普通だから勝てない?勝ちきれない?ブロンズコレクター?それって……ジ ン ク ス ですよね?そのジンクス、破りましょう」
アカン、目が座ってやがるとネイチャは戦慄した。
「パスパス!他に絶対適任いるって!!」
「えっ?ネイチャさんやめちゃうの?……ライス、やっぱり怖いかも……あ、あの、やっぱりやめても……いいかな?」
「なんとっ!?今からニンフを選び直すとなると、衣装のサイズがっ!こ、これはデジたん今日は眠れませんんん!!」
最初から退路が用意されているはずが無かった。
【そんなわけで】
「あとはされるがままだよ……見てこれ。ギャルスタイルなんて生まれて初めてだわ……アタシ浮かないかなぁ?……カワカミもニンフなんだ」
「意外とお似合いですわぁ!わたくしも寝耳に水でしたけれど、姫たるもの挑戦は真正面からブチ破らなければいけませんでしょう?」
「……なるほど、ギャップ萌えねぇ……それでカワカミはその服か。ハァ~……ん、分かった分かった。確かに、頼られた以上は弱音ばっかりじゃ失礼ってもんか。どうせ結果は全体責任だし?やったりますか~」
ほんのりと、闘志が宿った。
■ギャルネイチャ
「さて、ランウェイを進む栗東寮最初のニンフは……っっとぉぉー!?これはナイスだ!ギャルだっ!!ナイスネイチャ先生だーーーッッ!!ギャルと仲が良い事は周知の事実だが、実に意外ッ!!栗東寮、露骨にギャップ萌えを狙ってきたァー!!」
(選ばれたからには堂々と……!ただ歩くだけ!ただ歩くだけ!強気でいけぇ!!)
会場がどよめく。予想していたようなブーイングは起きなかった。見た事のないネイチャの姿に、多くの生徒が釘付けになっていた。
イエロー主体のジャージ上着と、チェックスカートで戻ってきても歓声は鳴りやまなかった。
■大人メイクで冬のネイチャーコーデ
「こっ、これはぁっ!!どこかアメリカの先住民族の民族衣装を思わせるコートとワンピの自然派(ネイチャー)コーデだ!!名前に被せてきたぞっ!!地味なベースカラーに七色の差し色だ!!差しだ差しだ!この差し脚は私に刺さるぞっっ!!」
(おあぁぁぁぁぁ~~~!!いやぁぁぁぁぁぁ~~~!!アタシを品評しないでぇぇぇぇ~~~!!こんなの普段着ないってぇぇぇぇ!!)
■グリーンドレス
「お、おいっす~」
「これは美しい!!どこの深窓の令嬢だ!?商店街の下町娘とは思えない気品だ!衣装提供はキングヘイローのお母様!?応援団の縁は続いていたぁーーー!!!」
■幕間
「ふぃ~……って、何その耳カバー!?アタシのじゃんっ!?」
「どうどう?ネイチャちゃん!マヤ、似合ってる~?」
「いや、アタシのコスプレって……うわ恥っず!!やめろ~!やめろ~~!?」
■ダンスパーティー
「もうどうにでもな~ぁれっ!!」
結果は僅差で栗東寮の勝利。トリプルシンボリに、メジロラモーヌ、ライスシャワーの5人に対し、ナイスネイチャ、アグネスデジタル、カワカミプリンセス、ジェンティルドンナ、スマートファルコンという謎編成で勝てたのは確かにナイスネイチャによるところが大きかった。個人得票数では初の1位を獲得し、栗東寮の勝利に貢献したのだった。
こんな所で1着取ってもなぁと思いつつ、ダンパでまで別衣装を用意されたネイチャは、熟練したダンスを披露する。1着こそ多くなかったものの、掲示板回数は多いネイチャは、ダンスだけはやたらと本番経験回数が多かったのだ。
■イベント後
「トレ~ナ~さ~ん!聞いて下さいよ!あいつらひどいんですよ!?今回のイベント、カメラマンいたって!!嘘でしょ!?」
「あの時だけだっていうから頑張ったのに、何年先の子達にもア、アタシの恥ずかしいカッコが……!!んに''ゃ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁあああ!!」
「え?予約……?は?アタシの言ったコト聞いてた?………………………………うぅぅ、もうバカッ……!トレーナーさんのバカッ!!絶交だっ!!」
しかし俺はDVDの予約を取り消さない。誰でもそうする。俺もそうした。
普段は着られないような派手な色、自分のキャラに合わないガーリーなスタイルも、この時だけなら楽しめるのだ。
「わぁっ!お似合いです!流石は今年のニンフですねっ!」
「はっ???????」
ネイチャは耳を疑った。視界がブレ、動悸がして、嫌な汗が滲み出て来る。
ニンフとは、1月初旬に行われる学園半公認の寮対抗のファッションショーに出る、5人の代表につけられた名前だ。
それぞれのニンフに生徒たちが投票するシステムで、より多くの表を集めた寮が勝つというイベントで、負けた寮は勝った寮の為にショーとその後のダンスパーティーの片づけをしなければならない。
「ネイチャさんと一緒なら、ライス頑張れるよ」
「いやぁ、推した甲斐がありましたなぁ。私まで選ばれるとは、予想外でしたが……。不肖アグネスデジタル、コスプレならお役に立てますゾォ~」
などと、他に選ばれたと思わしき友人たちは申しており。って、ライスさん美浦寮ぢゃん!!
「まさか、そんな馬鹿な……アタシみたいな普通のウマ娘が選ばれるはずが……」
「いえっ!!これは勝つための戦略なんですっ!!」
と、ずずいっと無駄に顔面の良い財閥令嬢が迫ってくる。
「このイベントは生徒たちの投票で決まります。ファッションショーとはいえ、結局は人気がものを言うんですっ。その点ネイチャさんは面倒見の良い事で知られてますし、実際にお世話になった事がある生徒も多数。更にはキタちゃんを陰に日向に支え、G1を7勝させた立役者……ついたあだ名がネイチャ先生!そして、普段は地味めの服を選ぶからこそ、もし着飾ったらギャップ萌えを狙えます!これは、勝てます!勝てますよネイチャさん!」
「いや!アタシ普通だから!いつも勝ちきれないから!迷惑かけるから!」
「普通?普通だから勝てない?勝ちきれない?ブロンズコレクター?それって……ジ ン ク ス ですよね?そのジンクス、破りましょう」
アカン、目が座ってやがるとネイチャは戦慄した。
「パスパス!他に絶対適任いるって!!」
「えっ?ネイチャさんやめちゃうの?……ライス、やっぱり怖いかも……あ、あの、やっぱりやめても……いいかな?」
「なんとっ!?今からニンフを選び直すとなると、衣装のサイズがっ!こ、これはデジたん今日は眠れませんんん!!」
最初から退路が用意されているはずが無かった。
【そんなわけで】
「あとはされるがままだよ……見てこれ。ギャルスタイルなんて生まれて初めてだわ……アタシ浮かないかなぁ?……カワカミもニンフなんだ」
「意外とお似合いですわぁ!わたくしも寝耳に水でしたけれど、姫たるもの挑戦は真正面からブチ破らなければいけませんでしょう?」
「……なるほど、ギャップ萌えねぇ……それでカワカミはその服か。ハァ~……ん、分かった分かった。確かに、頼られた以上は弱音ばっかりじゃ失礼ってもんか。どうせ結果は全体責任だし?やったりますか~」
ほんのりと、闘志が宿った。
■ギャルネイチャ
「さて、ランウェイを進む栗東寮最初のニンフは……っっとぉぉー!?これはナイスだ!ギャルだっ!!ナイスネイチャ先生だーーーッッ!!ギャルと仲が良い事は周知の事実だが、実に意外ッ!!栗東寮、露骨にギャップ萌えを狙ってきたァー!!」
(選ばれたからには堂々と……!ただ歩くだけ!ただ歩くだけ!強気でいけぇ!!)
会場がどよめく。予想していたようなブーイングは起きなかった。見た事のないネイチャの姿に、多くの生徒が釘付けになっていた。
イエロー主体のジャージ上着と、チェックスカートで戻ってきても歓声は鳴りやまなかった。
■大人メイクで冬のネイチャーコーデ
「こっ、これはぁっ!!どこかアメリカの先住民族の民族衣装を思わせるコートとワンピの自然派(ネイチャー)コーデだ!!名前に被せてきたぞっ!!地味なベースカラーに七色の差し色だ!!差しだ差しだ!この差し脚は私に刺さるぞっっ!!」
(おあぁぁぁぁぁ~~~!!いやぁぁぁぁぁぁ~~~!!アタシを品評しないでぇぇぇぇ~~~!!こんなの普段着ないってぇぇぇぇ!!)
■グリーンドレス
「お、おいっす~」
「これは美しい!!どこの深窓の令嬢だ!?商店街の下町娘とは思えない気品だ!衣装提供はキングヘイローのお母様!?応援団の縁は続いていたぁーーー!!!」
■幕間
「ふぃ~……って、何その耳カバー!?アタシのじゃんっ!?」
「どうどう?ネイチャちゃん!マヤ、似合ってる~?」
「いや、アタシのコスプレって……うわ恥っず!!やめろ~!やめろ~~!?」
■ダンスパーティー
「もうどうにでもな~ぁれっ!!」
結果は僅差で栗東寮の勝利。トリプルシンボリに、メジロラモーヌ、ライスシャワーの5人に対し、ナイスネイチャ、アグネスデジタル、カワカミプリンセス、ジェンティルドンナ、スマートファルコンという謎編成で勝てたのは確かにナイスネイチャによるところが大きかった。個人得票数では初の1位を獲得し、栗東寮の勝利に貢献したのだった。
こんな所で1着取ってもなぁと思いつつ、ダンパでまで別衣装を用意されたネイチャは、熟練したダンスを披露する。1着こそ多くなかったものの、掲示板回数は多いネイチャは、ダンスだけはやたらと本番経験回数が多かったのだ。
■イベント後
「トレ~ナ~さ~ん!聞いて下さいよ!あいつらひどいんですよ!?今回のイベント、カメラマンいたって!!嘘でしょ!?」
「あの時だけだっていうから頑張ったのに、何年先の子達にもア、アタシの恥ずかしいカッコが……!!んに''ゃ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁ''ぁあああ!!」
「え?予約……?は?アタシの言ったコト聞いてた?………………………………うぅぅ、もうバカッ……!トレーナーさんのバカッ!!絶交だっ!!」
しかし俺はDVDの予約を取り消さない。誰でもそうする。俺もそうした。
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2025-01-04 05:29
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