七咲逢
「まったく仕方のない先輩ですね……16年も経っているのに」——紳士による「クールで猫っぽい後輩」の観察記録。
真夏の太陽が輝く午後、二人は屋内プールサイドにて休憩していた。
高校を卒業してから16年。二人は夫婦になり、忙しい毎日を過ごしていたけれど、今日は久しぶりに休みを合わせて、昔よく通った市民プールに来ている。
「なんだか、懐かしいね」
逢がふっと笑うと、目を細める。
「そうだな。ここもあの頃とほとんど変わってない気がするよ。……逢も、ぜんぜん変わらないし」
「ふふ、それはさすがに無理があります」
逢は苦笑しつつも、どこか嬉しそうだ。
「でも、あなただって変わってないですよ。……相変わらず、ちょっと抜けてて、変態で」
「おいおい、褒めてるのかけなしてるのか分かんないんだけど?」
「両方、ですよ」
くすっと笑う逢に、思わず笑ってしまう。
プールからはしゃぐ子供たちの声が響く中、ふたりは静かに水面を眺める。
「ねぇ……」
「ん?」
「……幸せだね、私たち」
その言葉に少し驚いたが、ふわりと微笑んで、逢の手をそっと握る。
「僕もだよ。……逢と一緒だから、毎日が楽しいんだ」
逢の胸が、ぎゅっと温かくなる。
「……相変わらずずるい人ですね、"先輩"」
懐かしい呼称に面食らう形になったが、そう言いながらも、二人の顔にはやわらかな笑顔が浮かんでいた。
プールの水面が、キラキラと反射している。
あの夏の日と同じように——でも、今の方がもっと、ずっと愛おしい。
真夏の太陽が輝く午後、二人は屋内プールサイドにて休憩していた。
高校を卒業してから16年。二人は夫婦になり、忙しい毎日を過ごしていたけれど、今日は久しぶりに休みを合わせて、昔よく通った市民プールに来ている。
「なんだか、懐かしいね」
逢がふっと笑うと、目を細める。
「そうだな。ここもあの頃とほとんど変わってない気がするよ。……逢も、ぜんぜん変わらないし」
「ふふ、それはさすがに無理があります」
逢は苦笑しつつも、どこか嬉しそうだ。
「でも、あなただって変わってないですよ。……相変わらず、ちょっと抜けてて、変態で」
「おいおい、褒めてるのかけなしてるのか分かんないんだけど?」
「両方、ですよ」
くすっと笑う逢に、思わず笑ってしまう。
プールからはしゃぐ子供たちの声が響く中、ふたりは静かに水面を眺める。
「ねぇ……」
「ん?」
「……幸せだね、私たち」
その言葉に少し驚いたが、ふわりと微笑んで、逢の手をそっと握る。
「僕もだよ。……逢と一緒だから、毎日が楽しいんだ」
逢の胸が、ぎゅっと温かくなる。
「……相変わらずずるい人ですね、"先輩"」
懐かしい呼称に面食らう形になったが、そう言いながらも、二人の顔にはやわらかな笑顔が浮かんでいた。
プールの水面が、キラキラと反射している。
あの夏の日と同じように——でも、今の方がもっと、ずっと愛おしい。
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2025-03-20 14:26
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