【PcfB】Gifted Formula【交流】

人心を獲得した最果て

企画元:pacificblue:【illust/125692996
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▼イベント:潮流【illust/128844780
・海晶楼一般開放より前を想定したお話です。
・冴樹さんとの契約はPLG後、しばらくやりとりを経たあとになります。

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▼お借りしました。ありがとうございます!

□シャルルさん:illust/127904005
 外に出ることに対し、善悪の判断、犯罪やタブラの消耗品的利用に思い至ります。
 行動比重が「タブラ本人の希望 > 合理的判断(人間の理に適う判断) 」なので一旦社員に秘匿します。

□冴樹 迅さん:illust/128532052
 立場上、凄惨な事例に触れる機会も多そうなのと、
 人と良好な関係のタブラほどメンテ以外でNT社に訪れなさそうなので、
 「幸せにやってるタブラも見ましょう」という意図の発言をしています。

□少しずつで恐縮です
・マティさん:illust/128347857
・フロイさん:illust/128292763
・シンさん:illust/128903544/参考【illust/129452403】【illust/129646858
・眠璃ララさん:illust/127731979/参考【illust/129488530
・アヅカさん:illust/127871898
 アヅカさんは気前よく応じてくださいそうに思ったのですが、お心に障ることであればお目流しください…!

□台詞【】を拝借しています
・深宵さん:illust/128425779/【illust/129040890
・シィさん:illust/128477000/【illust/128790364
・パムさん:illust/128072966/【illust/128923046
・マティさん:/【illust/129456500

□FA:NT社派遣タブラの皆さん(潮流/CS作品ID)
・マティさん:illust/129261576
・フロイさん:illust/129287242
・シャルルさん:illust/129203380
・ニコさん:illust/129220426/127737679
・眠璃ララさん:illust/129241165
・シィさん:illust/129183029
・Ioさん:illust/129517024/127733799
・二季さん:illust/129632283/127736707
・紅珠さん:illust/129710880/128484168

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▼お借りした方々のレスポンスを求めるものではございませんので、FAとしてご覧いただけると嬉しいです。ご都合の悪いところはパラレル・スルーでお目流し願います。
問題や見過ごせない内容がございましたらご連絡ください。

・ディミッド【illust/128564909

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結局、研究室に置き去りにするのは良心が痛み、家に上げることにした。
部屋を放置しっぱなしにしていたのが幸いし、一人を迎えるスペースも寝具もあった。タブラの方は、自分は人間ではないのだからと恐縮していた。
「既にあるもんだから使ってくれ、というか、俺が落ち着かんし研究生どもに悪者にされかねないから使え」とほぼ無理矢理呑み込ませる形だったものの、慣れるのは数日だった。
こうして、家に置くのが当たり前になった。

特に何も言わなくても、こいつは勝手に部屋を掃除し、軽い食事を作る。広げたままにしておいてほしい物は触らずに置きっぱなしにするし、出てくる食い物はきちんと消費期限の早いものが使われている。教えなくても簡単なことくらいなら自分で考えて実行するらしい。
想定していた自主性はあるようだ、と確認ができていた。
むしろ、人と大差がなさすぎて不安を覚える。この先、本当にやっていけるのだろうかと。

「数学がお好きで?」
出勤前、朝の支度中のことだった。見てみると、机に立ち並ぶ背表紙を眺めていたらしい。
「まあ、そこそこかな」
「私の能力基盤にも数式が使われているそうですよね。先生が考えたんですか」
「違う違う。お前のを作ったのはプロだよ」
パンを齧りながら相槌をし、隣の部屋に防寒具を取りにいく。戻ってくると、まだ書籍群を気にしているようだった。
「気になるなら好きなの持っていっていいぞ。学生らを受け流すのに丁度いいんじゃないか。そんな難しいもの読んでたら、声かけにくくもなるだろ」
こいつが延々と教え子たちの話に付き合ってくれているのは知っていた。本当は勉強のため、学生たちの様子を側で観察していたいのだろうが、断る選択肢が持てないらしい。
「そんなもの読んでも何も楽しいとは思えないが」と付け足す。が、聞くやいなやもう1冊を手に取っていた。微積分の教科書。
「そうします」
──やっぱこいつ、人間ではないな。

ここは、もしかすると鬱屈としたものばかりに触れてしまう世界だ。人の気持ちがわかって心を病むくらいなら、心などない機械のほうが都合がいい場所かもしれない。
だが、人間性と常識の獲得は検討したほうがよさそうだった。もうちょいまともな本を買っておいてやろうと考えながら、最後の一欠片を口に放り込んで荷物を背負う。
04#Nth_deletion

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2025-04-27 17:37


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