ゴールデンウイークシンク
夏休みバーベキューシンク】
『灼けた夏の日。
どこかの寮の裏手、ぶ厚いコンクリブロックを即席グリルにして、
シンクは一人、黙々とうちわを振っていた。』
焼ける肉の匂い。
焦げるピーマン。
汗ばむ首筋に、蚊取り線香の煙がひと筋、細く絡む。
シンクは何も言わない。
誰に頼まれたわけでもないのに、
律儀に炭を均し、火を育て、肉を焼いている。
「……クソ、めんどくせぇ。」
ぽつりとこぼす声すら、
誰に聞かせるでもなく、ただ炭火に吸い込まれていった。
隣には、誰かが置いたナス柄のうちわが二本。
片手ずつ握りしめて、右も左も交互に煽ぐその姿は、
不器用な巨獣がせっせと巣を作っているようだった。
やがて、遠くから走ってきた坊やたちが、
「焼けた?」「まだ?」「はやく!」
と無邪気に騒ぎ立てる。
シンクはため息をつき、
焦げすぎた肉を適当にひっくり返しながら――
「……勝手に持ってけ。手ェ出したら指ごと焼くぞ。」
と、ぶっきらぼうに言い放った。
それでも、
肉を奪い合って笑う声と、
どこか懐かしい蝉の音に包まれて、
彼の横顔は、
ほんの少しだけ、柔らかかった。
『灼けた夏の日。
どこかの寮の裏手、ぶ厚いコンクリブロックを即席グリルにして、
シンクは一人、黙々とうちわを振っていた。』
焼ける肉の匂い。
焦げるピーマン。
汗ばむ首筋に、蚊取り線香の煙がひと筋、細く絡む。
シンクは何も言わない。
誰に頼まれたわけでもないのに、
律儀に炭を均し、火を育て、肉を焼いている。
「……クソ、めんどくせぇ。」
ぽつりとこぼす声すら、
誰に聞かせるでもなく、ただ炭火に吸い込まれていった。
隣には、誰かが置いたナス柄のうちわが二本。
片手ずつ握りしめて、右も左も交互に煽ぐその姿は、
不器用な巨獣がせっせと巣を作っているようだった。
やがて、遠くから走ってきた坊やたちが、
「焼けた?」「まだ?」「はやく!」
と無邪気に騒ぎ立てる。
シンクはため息をつき、
焦げすぎた肉を適当にひっくり返しながら――
「……勝手に持ってけ。手ェ出したら指ごと焼くぞ。」
と、ぶっきらぼうに言い放った。
それでも、
肉を奪い合って笑う声と、
どこか懐かしい蝉の音に包まれて、
彼の横顔は、
ほんの少しだけ、柔らかかった。
シンク
shinnku
オリキャラ
original character
一次創作
Original
オリジナル小説
orijinarushousetsu
オリジナル
original
日常
everyday life
バーベキュー
ba-bekyu-
ゴールデンウィーク
go-rudennwi-ku
夏休み
summer vacation
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2025-04-29 15:10
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