上り棒のテッペンからは風が見える

加瀬清見(独白)：
　アタシはカゼキヨミ。
　自由気ままに生きてる。

　スクールカーストとか、イジメとか、
　そういうのはめんどくさい。

　誰かと、つるんだりもしない。
　コイバナ？バッカバカしい。

下田供子：
　キヨミの姉御！
　すげぇっす！
　上り棒のテッペン、取ってる女子高生なんて、
　キヨミの姉御くらいのもんすよ。
　やっぱキヨミの姉御は違うなぁ。

加瀬清見(独白)：
　この騒いでるバカ。
　シモタトモコ。

　誰とも、つるむつもりなんざないが、
　トモコだけ、やたら絡んでくる。

　姉御ってなんだよ？
　母ちゃんは、おまえみたいな妹、
　産んじゃいねぇ、っての。

下田供子：
　キヨミの姉御！
　なにが見えるんすか？
　世界…っすかっ！？

加瀬清見：
　ふっ…
　風…かな。

下田供子：
　くぅ！風っすか！？

　キヨミの姉御！
　アッシも、上っていいっすか？

加瀬清見：
　バカっ！やめときな。

下田供子：
　へいっ。
　アッシにはムリっすよね。
　ここで、キヨミの姉御のことを見とりやす。

加瀬清見(独白)：
　トモコ、ホントにバカだな。

　ネットで見たことねぇのかな。
　木に上るだけ上って、降りれなくなった猫ちゃん。

　はぁ。
　どうすっかなぁ。

　怖くて、下、見れねぇんだよな。
　下りるとか、どう考えても無理。

　はぁっ。
　アタシもヤキが回ったもんだね。

　上り棒の上で途方にくれるとは。