メカ娘044

数年前に行われた絶滅戦争で廃棄された要塞内
致死量の放射線が計測されるこの場所は生き物もいないはずなのに
一つの物体がもぞもぞと動き回っていた

「この辺りに目的の部品があるはず、早く見つけて帰らないと」

大型マシンには目くらまし程度しか効果が無い型落ちのアサルトライフルに
メカ娘にも有害なノイズや電磁波を遮断するヘッドギアを装着し
経年劣化で調整機能が壊れかけのボディスーツに
キツイ日差しと紫外線を防ぐためダボダボなジャケットを身に着けたメカ娘

大戦中は最新鋭機として自信と共に戦場を駆け回っていた彼女だが
終戦からのごたごたで捨てられ今はゴミあさりをしながら日々を惨めに生きていた
砂塵とホコリまみれの風が、小柄な身体に社会の風当たりのように当たっていた

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2025-05-07 20:13

 とうふの人


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MP 2025-05-08 06:42

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