『妻じゃねぇよ！』

同棲生活が始まって数ヶ月。

晃司の洗濯物の山、食べ終わった皿、なぜか増えるコンビニ袋……。

「……うっわ、また靴下裏返しのままカゴに入れてやがる……」

ブツブツ文句を言いながらも、ちゃっかり畳んで整頓する心理。

掃除機をかけ、トイレの芳香剤を取り替え、晃司のシャツをアイロンがけ──

完璧な家事スキルを発揮しつつ、口調だけは不機嫌そのもの。

「何でオレがここまでやんなきゃいけねーんだよ……」

「え？それって、嫁のセリフじゃん？」

「はあ！？」

ソファでゴロゴロしていた晃司が、スマホ越しにニッコリ。

「だってさ、洗濯して掃除して、アイロンまでしてくれてるって……完全に俺の嫁」

「ちっげーよ！！違うし！！ただの衛生管理の一環だし！！」

「でもその前かがみでシャツ畳んでる姿……嫁。完全に嫁」

「はあああああ！？お前もやれよ！」

晃司は掃除機をかけ終えた心理に背後から抱きつきながら囁く。

「ねぇ心理。俺に惚れて、家事完璧な嫁になっちゃったとかじゃないの？ え？そうなの？」

「ぶっ殺す……！」