刀使ノ旅々「～祝福・白の章～」

昨晩の事。野宿をしている一行。
「あのさ、明日は特に予定ないけど、そろそろ寝ない？」
アムネシアが困惑した表情で二人に声を掛ける。
「えっと・・・もう少しだけ起きてお話ししましょう」
「そうなのです。夜はまだまだこれからなのです！」
「まぁ、良いけど・・・そろそろ零時か・・・」

ピピピ・・・可奈美のスマホが零時を告げる
「アムネシアさん・・・」
「お姉ちゃん・・・」

『誕生日おめでとうございます！・なのです！！』
魔法で出したのかクラッカーの紙吹雪が舞う。
『サプライズ、成功！！』
二人が満面の笑みを浮かべる。
あっけに取られるアムネシア。
「あ、今日誕生日か・・・ありがとう。」
夜遅いので可奈美が準備した小さなケーキでお祝いをした。

朝。アムネシアは奇跡的に寝相を崩さすに目を覚ました。
「ん？・・・」
アヴィリアは夜更かしが祟ったのかまだ熟睡している。
「カナミ？」
テント内に可奈美の姿が無かった。
「え・・・まさか・・・」

（桜、来年も見れるといいですね）

「カナミ！」
大急ぎで着替えるとテントを飛び出した。

「あ、アムネシアさん」
野宿の近所の砂浜を歩いていた可奈美は走ってくるアムネシアに気づく。
「カナミ・・・急に居なくならないでよ・・・」
「すみません、海風が気持ちよかったので散歩です」
「・・・そうなんだ・・・・」

「アムネシアさん、もしかして私が元に世界に戻ったかと思いましたか？」
「・・・」
「大丈夫ですよ、まだ原因も判っていませんし、当分は一緒ですよ。」
多分と心の中でつぶやく。
「まったく・・・」
アムネシアが苦笑を浮かべると可奈美を笑顔を返す。

「それとここにいれば、アムネシアさんが来てくれるんじゃないかと」
「え・・・？？」

「では、改めて・・・」
可奈美とアムネシアはお互いに向かい合う体勢になる。
可奈美は飛びっきりの笑顔で口を開く。

「アムネシアさん、誕生日おめでとうございます！』

「えっと、それもう言ってもらったよね」
困惑気味のアムネシア
「二人っきりの時にお祝いしたかったんです」
アヴィリアさんには悪いですけど、付け加える。
「まったく・・・じゃあ、カナミの誕生日にお返しするね」
「楽しみにしています」
お互いに笑いあうとテントへと戻っていった。
（おしまい）

テントへ戻る途中
「明日と言うか今夜はアヴィリアさんの番ですね」
「え、今夜もやるの？？」
（つづく）

誕生日絵のテロップ抜きバージョンです。
浜辺でお祝いされているアムネシアさんの図です。
ちなみにアヴィリアさんのは間に合いませんでした。来年頑張ります。
アヴィリアさん、ごめんなさい。

それでは、また次回。