Die of Kiss

エンターテイメント性と考察要素が高次元で融合している傑作です。心理描写の深さのおかげで、キャラクターに思い入れを抱きやすく、読み進める手が止まらない。多視点を生かしきった緻密な展開も見事で、伏線が収束していくことによる面白さが好きな人なら存分に楽しめるのではないでしょうか。

 6つのシナリオから成る、独特の雰囲気を持つ学園哲学電波鬱青春物語。
1999年に発売された同ブランドの『終ノ空』を下敷きに作り上げられた作品ですが、
ただのリメイクには留まらず、別の良さを持った作品に仕上がっています。

哲学書や古典文学からの引用が多めで、小難しい理屈をこねまわすので、テキストの取っ付きは悪く
まわりくどいシナリオだなという印象を受けやすいかもしれない。
内なる世界、外なる世界、死、神、魂などなど、哲学的な概念が物語の進行と同時に
問いかけられてくるので、頭を使わされる。

 ただ、哲学ばかりでは難しくて煙にまかれてしまうばかりになってしまうところですが、
この作品はストーリー展開自体は分かりやすいし、何よりもキャラクターの心理描写が個性的で
テキストを追っているだけでも楽しく、先の展開も気になるし、どんどん読み進めていけます。

 最終的にはわかりやすい内容に仕上がっているので、わかりにくい部分はある程度
流して読んでもストーリーを追いかける上ではさほど問題はないですしね。
ただ、引用するからには何かしらの意味を持たせてある、という製作者の言葉通り、
クリア後に考えると、印象的に思えるものが多い、という感じです。
ストーリー展開に哲学的な問いを絡めていることで、より印象的な見せ方になっている
という側面もありますし、謎めいた空気が演出され、良い雰囲気が出ています。

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2010-09-23 17:41

 ScnuKson


Comments (3)

笑看沧海桑田 2014-03-07 20:19

蒼き漆黒の稲妻 2010-09-25 22:15

文章すごいですね^^; それよりもこの絵はもうやばいです!つかよくこの難しそうな絵を描けますね^^;すごすぎます、うますぎます><b

natsumi. 2010-09-23 18:58

かわいい

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