赤い月に照らされて

鉄さびのような鈍い赤色に染まった月が薄い雲にかすんでいた

それを見つめる一匹のプリニーがいた

ほかのプリニーが逝ってしまっても　そこに残っていた

ラハール　エトナ　フロンが見守る中そのプリニーはある光景を思い出した

母上ーこの絵本の悪魔さんわるいことしてるよ？みーんな殺しちゃった

ほんとね。こんな悪魔さんには愛を教えてあげないとね

悪魔に愛を教えるの？

ええ、きっとみんなわかるはず　だからラハールも愛を持ってみんなと接するのですよ

はい！　母上

いつのことだろう？今思い出すと本当に微笑ましい光景だなぁ

そう思いながらそのプリニーは祭壇へ足を進みだしたそして　泣き出しそうなのをこらえて

殿下・・お体を気を付けて・・・あっしらがいなくなってもほかのプリニーがきますからよろしくッス

いつもの陽気な声を出した

まっ任せとくがよい

尊大な口調で答えたつもりのラハールだがその声は震えていた

エトナさん、フロンさん・・ラハールをお願いします・・

そう言い残すとふたつぶの涙を残してこの世を旅立った