花捧グ少女

■海に面したその崖の上には、少女の墓があった。生前何所で何をしていたのかもわからない少女の墓があった。辺りには草木が蔓延り鬱蒼とした雰囲気が漂っていたが、波と葉の擦れる音に包まれており、不思議と心安らぐ風を感じることができた。墓には毎日綺麗な花が飾られていた。誰かが毎日のように花を捧げているらしい。私はよくここへ来て海を見るのだが、花を捧げている誰かとは一度も会ったことが無かった。・・・今日までは。いつもの様に海を見ようとこの崖の上まで来てみたら、そこには花を摘んでいる少女がいた。彼女が墓に花を添えていたのだろうか。右手には名前も知らない花が握られている。「君がいつも花を添えているのかい?」私がそう聞くと、少女は短く「えぇ。」と答えた。少女は墓の前まで歩き、手に持っていた花を添えた。「お姉ちゃんが。」唐突に少女が口を開いた。「お姉ちゃんが、最近は寂しくないって言ってる。」”あなたがよく此処へ来てくれるからでしょう?”少女はそう続けた。「お姉ちゃん、って?」「ここでいつも海を見てるの。私のお姉ちゃん。」少女はそう言い、墓石にそっと手を触れた。■大学内で開催された学内CGコンテストに提出した作品です。■製作過程みたいなのを作ってみました→(illust/16092197) ■学内CGコンテストにて優秀賞を頂きました。ありがとうございます。

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2011-01-22 16:36

 かのこ


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