ヤコブシュタットの戦い

大北方戦争前半期のクールラントでの戦闘。1704年7月、エストラントとリーヴラントでのロシア軍の一連の成功を受け、リトアニア軍は対スウェーデン行動を活発化させクールラント北東にあるドヴィナ河畔の重要な渡河点の一つであるヤコブシュタットを大ヘトマン、ヴィシニョヴィエツキ率いる凡そ10,000の兵を持って包囲した。1703年にクールラント方面の総督となっていた少将レーヴェンハウプト伯爵はミタウおよびリガ方面への脅威となるこの行動を察知するとスウェーデン軍3,000とカジミェシュ・サピェハ指揮下のリトアニア騎兵隊3,000と共に急速行軍し7月25日、セルブルクへ進出した。レーヴェンハウプト軍の接近に気がついたリトアニア軍は包囲を解いて後退の構えを見せた。またスウェーデン軍の行動にあわせるかのようにロシア軍約5,000も同日にリトアニア軍に合流した。7月26日、レーヴェンハウプトはロシア軍と完全に合流し終えたリトアニア・ロシア同盟軍に対して戦闘を仕掛けることを決意し、6時間に及ぶ行軍の後、ヤコブシュタット近郊で戦いを挑んだ。小川や隘路、森林に遮られて騎兵を両翼に配置する伝統的隊形を放棄せざるを得なかったレーヴェンハウプトは、それでも横一線にスウェーデン軍隊列を組み直すと秩序を乱すリトアニア騎兵隊を追撃用に背後に残して攻勢に出た。騎兵隊が一部で秩序を乱したが、数で劣るスウェーデン軍の横一線の攻撃は数で勝るリトアニア・ロシア同盟軍を撃破した。この功績によりレーヴェンハウプトはクールラント、リーヴラント、エストラントの全スウェーデン野戦軍の総指揮を任されることとなった。